こんにちは、トイアンナです。
この度、結婚しました。3回目の結婚です。
懲りずに結婚へ至ったあらましはさておき、私には前々の結婚から、許せないことがありました。
それが、結婚にまつわる日本のアナログさ加減です。
進む恋愛のDX、それに対して結婚ときたら
「結婚」に必要なのは婚姻届です。シンプルですね。で、みなさん、この婚姻届とやらがどういうふうにできているか、覚えていますか or 知っていますか?
婚姻届と言うからには、氏名と住所くらい書かされることは想像つくと思います。しかし、さらにそこには「本籍地」「現在の職業」「親の氏名」「同居を始めた時期」など、本当にそれ必要??? と、思わずツッコミたくなる情報を書かねばなりません。
あなたは、自分の本籍地を正確に書けますか? ちゃんと番地まで?
最後って「番」か「番地」か、覚えています?
と、ここまで書類ミスが許されない……厳密には許されないわけではなく、提出時に赤入れされるわけですが、細かな記載が必要なわけです。
しかも、記載が必要なのは自分たちだけではありません。婚姻届には2名の成人した証人が必要なため、彼ら・彼女らの氏名・住所・本籍地も必要です。
さて、ここまでで膨大な書き損じが発生するリスクを察知していただけたことでしょう。私はADHD(注意力が足りないマン)なので、初婚のときに14枚書き損じました。
役所から入手した婚姻届の紙は当然底をつき、ネットで婚姻届を探すも……普通に全部の市区町村で婚姻届のフォーマットが配布されているわけでもありません。
ようやく見つけた横浜市のウェブサイトで、婚姻届のPDFを発見できました。ありがとう横浜市。まあ、プリントアウトはA3でしかできないので、家にビジネス用複合機がない人は、コンビニで印刷するしかないのですけれどもね!
さらに、婚姻届が受理されてもすぐ戸籍や住民票に新しい名字が反映されるわけではありません。なぜなら婚姻届の確認は手動だからです。混んでいるお役所だと、3日後に再度伺って戸籍や住民票をゲットせねばなりません。ふ、不便……
DXはいずこ、名字変更でも続くアナログの洗礼
受難は結婚後も続きます。名字を変更した方は、身分証明書の名字を全部変更しなくてはならないからです。先程の戸籍や住民票の写しは、ここで使うわけです。
一般的な方の場合、免許証、銀行口座、キャッシュカード、クレジットカード、健康保険証、パスポート、マイナンバーカードあたりの名字変更が一気にやってきます。そして、その手続きは大体「郵送」か、「窓口で直接申請」するしかありません。
これだけで有給休暇が3日は溶けます。ナメているのか?
私は別に夫婦別姓を求めているわけではありませんが、ここまで「窓口で申請してください」が続くと、べらんめえ口調にもなろうというものです。
さらに、私のように法人(会社)を持っている人間は、会社の登記簿も書き換える必要があります。これまた手続きはアナログです。で、電子申請させてください……。お願いします……。
婚姻届も、その後の手続きも「人生に一度」だからとDXが後回しにされている面があるのではないでしょうか。しかし、夫婦の離婚率は35%(※)。離婚届で再度改姓する方や、さらに再婚する方も多いわけです。
※参考: 日本の夫婦の離婚率は35%!実態と原因・離婚回避のためにできること|離婚弁護士ナビ
「もはや人生に何度も訪れるイベントとなりつつある婚姻プロセスが、ここまでアナログで許されるのか?」とは、大きな声で主張したいものです。
恋愛では進むDX
それに、「日本はアナログだから諦めなよ」という時代でもないはずなのです。なぜなら、この10年で日本の恋愛は劇的にDXが進んだからです。
2021年に結婚した方のうち、 婚活サービス経由で結婚した方は15%(※)。中でもマッチングアプリを利用している比率は年々上がっています。今どき、対面での「合コン」の方が開かれる機会も減ったのではないでしょうか。
※参考:恋愛・婚活|マーケットを読む・調査データ|リクルート ブライダル総研
各種マッチングアプリはビデオ通話によるデート機能も搭載しており、オンラインで付き合うところまで進めます。たとえば福岡に住んでいる女性と、宮城に住む男性とのマッチングですら、お互いが気にしなければ可能なわけです。
コロナ禍では、さらに #Twitter婚活 も登場しました。Twitter婚活とは、ハッシュタグをつけて以下の情報をTwitterに投稿し、相手を募集するものです。
性別:
年齢:
身長:
体型:
住所:
お酒:
煙草:
学歴:
年収:
職業:
休日:
趣味:
好きなタイプ:
#Twitter婚活
同じハッシュタグで検索すれば婚活男女が見つかるというわけで、数年前から一気に投稿数が増えました。実際、Twitter経由でお付き合い・成婚に至った事例も周りで複数発生しています。マッチングアプリを使うよりもリーズナブルに繋がれるというわけで、お手軽な婚活として人気です。
DXから程遠いー結婚で突然アナログ化する儀式
ところが、「結婚」を見据えた瞬間に、恋愛は突如アナログ化します。婚姻届は前述のとおりですが、たとえば「結納」という平安時代から続く儀式をご存じでしょうか。嫁入り・婿入りの際に、「パートナーを貰う側」が謝礼を差し出すシステムです。今もおこなわれている地域では、結納品(かつお節やスルメ、昆布など)と金銭を受け渡します。
結納まではいくら何でも……というご家庭でも、ご両親の顔合わせは対面でおこなうところが多いでしょう。LINEを使えるシニア世代が増えたといっても、顔合わせは対面が常識。大人数での会食が問題視されるコロナ禍では、なかなかヒヤリとする儀礼です。
さらに、結婚指輪を購入ともなれば、数店舗からときに数十店舗を行脚することとなります。これだけで週末休みが何度か潰れると思うと、「結婚準備のワクワク」では済まされない労力です。そして、筆者の調査では指輪の納品を郵送で受け付けてくれるのはロイヤルアッシャー社のみ。下見・注文・受け取りと3回も来店するわけです。
まして、結婚式をやろうとなれば、打ち合わせの数は激増。フォトグラファー、フローリスト(花を活けるプロ)、音響担当者、プランナー、衣装レンタル屋さんとの打ち合わせは原則としてすべて対面です。週末はほぼ結婚式の打ち合わせで埋まり、それでギスギスしだす新婚さんも少なくありません。出欠届けはいまだにハガキで送るのが伝統で、Googleフォームはなかなか出番もなし。
これら全部……対面や郵送でやる必要、あります?
マイナンバーカードの不毛な議論
現在、内閣主導による、マイナンバーカードのDXが話題になっています。保険証と合体、いや、それとも別扱い? といったゴタゴタ以前に、マイナンバーカードで結婚や離婚など、戸籍の手続きをデジタル化できていないのはなぜなのでしょうか。
マイナンバー制度が導入される前、反対派は「管理社会にNOを!」というお題目を持っていたはずです。ですが、蓋を開けてみればシステムがポンコツすぎて、納税額すらまともに管理できていない始末。私はてっきり、マイナンバーで自動的に確定申告が終わる未来を想像していたのですが……。
結婚、離婚、転居、出生など、役所の戸籍住民課が担う仕事は大半がDX可能な分野です。結婚からしばらくたった今でも、私は役所の担当者が婚姻届をコピーし、蛍光ペンを走らせながら1箇所ずつミスがないかチェックしていた光景を思い出します。
今どき、ピザのデリバリーですら可能な、住所の自動記入機能をオンラインで実現すれば、婚姻届は電子署名で出せるはずなのに。あの作業、必要ですか? と、心底思わざるをえないプロセスです。
いいや、婚姻届は紙で出すからこそ重みがある、とおっしゃるかたには、紙対応を細々と続けてやればいいじゃないですか。自動レジが並ぶスーパーの片隅に、ひとつだけ手動レジを残すように。DXは、難しいものではありません。「こうしたら全員が楽になるのに」という課題を、一つずつ解消するもののはずです。
1回目は「こんなもんか」と流してきたアナログな結婚のプロセスも、3回目にして、さすがに誰かツッコミを入れなさいよ、と思わされた次第です。