社員やその家族との相互理解を深める社内イベント「さくら工房」

今年8月、さくらインターネットの社員やその子どもたちを対象としたイベント「さくら工房」が開催されました。

 

「さくら工房」は、社員とその子どもたちに工作体験をしてもらう企画。子どもたちには、お父さん・お母さんが働くさくらインターネットの雰囲気を知ってもらうこと。また、社員同士も相互に理解を深め、コミュニケーションの活性化を目的としています。

 

本記事では、「さくら工房」を企画した総務部 竹田あずさと総務部長 中川幸造に話を聞きました。このようなイベントが開催された背景や、さくらインターネットの制度などについても語っています。

 

オンラインイベントの難しさ

――「さくら工房」はどのようなイベントですか?

 

竹田 あずさ(以下、竹田):コロナ禍以前に実施されていた「さくらのキッズ社員」に代わる取り組みです。「さくらのキッズ社員」は、働きやすい環境づくりの一環として、社員の子どもたちを対象に職場見学してもらったり、仕事の一部を体験してもらったりするものでした。

 

中川 幸造(以下、中川):「さくらのキッズ社員」は、社員の子どもたちに実際に会社へ来てもらい、さくらインターネットがどのような会社で、どのような仕事をしているのかを知ってもらうイベントでした。

社員同士の相互理解と、社員のご家族にさくらインターネットへの理解を深めてもらうという目的で開催していたものです。このあたりは「さくら工房」と変わりません。

 

竹田:ただ、「さくら工房」は「さくらのキッズ社員」と違って、オンライン開催でした。参加者の方に事前に工作キットを送付し、それぞれのご自宅からZoomでつないでいただくような形です。

今回「工作キット」として用意したのは、スイッチを入れると光るうちわです。参加者のみなさんに、絵を描いたりシールを貼ったりしてもらい、完成したらお互いに披露し合いました。

参加者に配布した光るうちわ。透明部分に絵を描いて楽しめる。

――開催にあたって、大変だったことはありますか?

 

竹田:遠隔にいる参加者が各地からオンラインで参加するイベントということで、非常に難しさを感じました。

相手がどういう状況なのか見えないので、参加者の方々のモチベーションや、どれだけ興味・関心をもっていただけているのかがわかりにくいんです。そういったなかで、どう盛り上げていくかを考えるのがとても大変でした。

 

こういったイベントに限らず、オンラインの会議などでもそうですが、誰かだけが話して、一部だけで盛り上がってしまうといったことがあります。

でも、せっかくいろいろな方に参加いただけるのであれば、なるべく全員で盛り上がりたいと思っていました。なるべくまんべんなくいろいろな方に話してもらえるように、どう話を振っていくか、どういった質問を投げかけるかなど、さまざまなパターンをあらかじめ考え、シナリオを練りましたね。

好きな画材を使って思い思いに制作する参加者

全員が主人公になれるイベントを

――「さくら工房」のようなイベントを企画したのはなぜでしょうか?

 

竹田 :コロナ禍以降、拠点に関係なく活躍できる環境づくりが進み、リモートワーク前提の働き方に大きくシフトしました。

そのため、社内のコミュニケーションのあり方も変化したと思います。同僚の顔を見るのはほぼWeb会議のみで、Slackなどを利用したテキストのコミュニケーションが中心です。場合によっては、一日中誰とも話さないこともあります。

 

これを課題としてとらえ、社内のコミュニケーションを活性化する施策を検討していました。そういったなかで、オンラインで従業員と話ができて、顔が見れて、1対1や1対多数ではなく、全員が主人公になれるイベントをやりたいと思い、「さくら工房」として形にしたという背景があります。

 

中川:竹田さんがおっしゃる通り、全社のコミュニケーションの頻度は極端に下がっています。さらに言うと、私は二極化したと考えています。

というのは、会議の頻度は上がっているんです。以前は会議室の確保が大変でしたから、頻度は少なく、長時間の会議を設定することが多かったのではないかと思います。いまは、30分程度の短い会議が増えました。リモートワーク前提の働き方となったことで、場所にとらわれることなく気軽に会議を設定できるようになり、非常に効率的になったと思います。

 

一方で、会社でたまたま会った人と少し雑談をするといった偶発的なコミュニケーションは激減してしまいました。

また、軽食を用意して誰でも参加できるようなイベントも以前は年に何回かやっていましたが、そういったものも開催自体が難しい状況です。そういった意図的に設定された場でのコミュニケーションも少なくなっているという現状があります。

 

情緒的なコミュニケーションを補いたいという要望は、多くの社員からいただいています。これは役職者や最近入職された方など、あらゆる方がおっしゃるので、総務部としても課題として取り組む必要があると考えていました。

そういったなかで、竹田さんから「さくら工房」を起案いただいていますので、部門としてもいい形になったと思います。

サークル活動支援制度「グループコネクト」

――「さくら工房」は、「グループコネクト」という制度を利用して開催されたとうかがっています。「グループコネクト」についても教えてください。

 

中川:グループ会社間の情緒的な連携を目的とした連絡会を総務部が主催していて、各社から経営者層に参加していただいています。そこで、さくらインターネットだけでなく、グループという大きさでサークル活動ができないかという話が出ました。

コロナ禍以降は、さくらインターネットのサークル活動支援制度が廃止されていたので、サークル活動の基盤がありませんでした。そういった背景があり、竹田さんから「グループコネクト」を起案いただきました。

 

以前、さくらインターネットでおこなっていたサークル活動への支援は、たとえば、テニスのラケットや自転車など、サークル活動に使う「モノ」に対してでした。

「グループコネクト」は、「モノ」ではなく「コト」に対して支援する制度です。なにかの活動に対して、最大で参加者ひとりあたり500円まで支援します。

 

まずは、グループ会社は含めず、さくらインターネットで運用してみることにしました。これは従業員に対する福利厚生にあたるので、人事の所管領域です。総務側で起案後は、人事担当者の方にも協力してもらって制度化しました。

「グループコネクト」制度を利用した例としては、「さくら工房」以外にも、「オンラインランチツアー」などが開催されています。「オンラインランチツアー」は、お昼休みの時間を利用して、現地にいるツアーガイドの方にオンラインでインドの紹介をしてもらうものでした。

参加者のほとんどが「また参加したい」

――「さくら工房」に実際に参加した社員やご家族の方の反応はいかがでしたか?

 

竹田:開催後にアンケートに答えていただいたのですが、ご家族や社員の方、参加者のほとんどの方が楽しんでいただけたようです。やってみてよかったと思いましたし、うれしかったですね。

「家族の新たな一面を知れた」「家族と一緒に同じモノを作る体験や、ほかの人の作品を見ることでいい刺激になった」といったご意見がありました。たしかに、普段、家族を知る機会は意外と少ないですし、そういった点でもお役に立てたのかなと思います。

あと、「会議に出てお仕事に参加した雰囲気を味わえて、子どもが喜んでいた」といった声もいただきましたね。Zoomでつないでみんなでわいわい話すという感じだったので、お仕事の雰囲気とはまた違いますが、さくらインターネットの雰囲気を感じていただけたという点ではよかったのではないかと思います。

 

 

――小学生のお子さんからかなり小さいお子さんまで幅広く参加されていました。ひとりで参加している社員もいましたね。

 

竹田:お子さんと一緒に参加いただけるようにという目的ではあったのですが、「大人だけの参加も歓迎」としていました。かなり本気の力作を見せていただいた社員もいて、盛り上がりましたね。

 

社員が描いたベタ(熱帯魚)

 

竹田:参加者のほとんどの方に、また同じようなイベントがあれば参加したいと言っていただいているので、次の企画もしっかりやっていきたいと思っています。

 

中川:これは将来的な展望ですが、SDGsも視野にいれた活動にできるといいなと考えています。「4 質の高い教育をみんなに」、「8 働きがいも経済成長も」といったあたりを「さくら工房」を通して実現できるといいですね。ただイベントの開催を目的にするのではなく、今後続けていくならそういったところも意識していければと思います。

 

さくらインターネットでは、もともと働きがいや情緒的な価値を尊重するという意識がベースにあります。大人たちが生き生きと働き、その姿をみて子どもたちにも「こんな仕事がしたいな」と思ってもらえるような取り組みを、さくらインターネットで実現できたらと思います。