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文脈からユーザーへの共感を深める ー 2021年度東工大EDP

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さくらインターネット株式会社 企画推進部に所属している瀧本です。おもにデザイン業務に携わり、最近は継続的なサービス改善を目的にお客さまへのインタビューをおこなっています。

 

東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト(以下、EDP)は、今回で4度目の参加となりました。

2021年度の当社のテーマは、「リアル店舗を楽しみたい乳幼児子育て世代のためのデジタルエイド購買体験をデザインせよ」です。

東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクトEDPは、デザイン思考に基づきEDPが独自に築いてきたデザインプロセスを活用し、学生と社会人履修生からなるチームが、新規ユーザ価値創出に取り組むプロジェクトです。パートナー企業から提供されたテーマに対し、東工大生・武蔵野美術大学や多摩美術大学の美術系学生・昭和女子大生・社会人の受講生がチームを組み、デザイン思考とエンジニアリング思考を活用して、独自の視点から問題を捉え、その解決や利用者の視点に立った設計をしていきます。 このプログラムでは、ユーザインタビューと課題発見、アイデア創出、プロトタイピング、ユーザーテストを繰り返すことで、本質的な価値の提案にもとづいたプロダクトを目指します。

 

(エンジニアリングデザインプロジェクトより引用:https://edp.esd.titech.ac.jp/#aboutedp

 

当社のテーマに取り組んでくれた2チームを紹介します。

 

・チームぽんでりんぐ

親と子(4〜6歳)がショッピングセンターのおもちゃ屋で、お互いが「きっといいね!」と言える買物を実現する「キットイイネ」を作成しました。

 

・チームjaja

ショッピングセンターで親が小さい子供を預けている間に、店舗間の移動を減らして短時間で納得のいく服選びができる試着室「Dressle」を作成しました。

 

チームぽんでりんぐとチームjajaのみなさん、約半年間ありがとうございました。記事の最後にチームのレポートへのリンクがあるので、ぜひ読んでみてください。

メンバーの写真

ユーザー視点のものづくりに欠かせない共感

デザイン思考は人間を中心とした問題解決の考え方で、誰のどんな問題かを見つけ、その課題をもつ人に共感しながら解決策をつくっていきます。

問題を捉えきれないままの発想は思い込みが入りやすいため、当事者意識を持てるくらい多くの情報を集める必要があり、それにはインタビューが効果的だと感じました。

当事者意識を持って課題に取り組むことで、より具体的な解決策を考えられるようになります。

EDPでは子育て経験のないチームでしたが、親の考え方や悩みを知るうちに段々とユーザーの課題に沿ったアイデアを出せるようになりました。

 

インタビューは、ユーザーが取った行動の経緯や周辺の情報であったり、小さな疑問もその場で直接聴いて確認できます。ほかにも声の調子や表情や間といった言語化できない情報も得られるため、徐々に本人も気づいていない隠れた心理を汲み取れるようになっていきます。

 

課題に対して具体的に共感しやすくなり、それと同時に普段は少ない情報で結論を出していると気づきました。アンケートやA/Bテストは結果が数字としてわかりますが、なぜそれを選んだのか理由までは読み解けません。実際に聴いてみると行動は同じでもそこに至るまでの考えや感じ方が人それぞれで違いました。

インタビュー中の写真

インタビューに同席したとき、本人は「不満はない」と言いつつ、声の調子や同じフレーズを何度も繰り返すことから、本当にそうなのかなと疑問に感じる場面がありました。たとえば、子育ての悩みを周囲のママ友に話していますが、じつは夫婦で話したそうにしているのです。

ユーザーの状況を読み解き課題を見つける

約半年間の授業でそれぞれのチームが30回以上のインタビューをおこないました。

子育て経験のないチームだったため、活動当初は漠然としたユーザー像を持っていましたが、回を重ねるうちに、子どもの人数や生活環境によって課題が異なることに気づき、特定の状況にいるユーザーの課題を解決するよう絞られていきました。

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ユーザーがどういった状況に置かれていて、何を感じ、考え、行動に至るのか、生態を知ることで共感できるようになっていきます。表面的に見えることや数字からは読み解くのは困難です。インタビューは、そういった前後を含めた文脈を知るのにとてもよい手法といえます。

 

ただし、上手に話すのではなく、相手に関心を持つことが共感への第一歩です。関心を持つことで「もっと知りたい」という気持ちが起こり、深掘りができるようになります。

 

これからインタビューを始める人には、予備調査をして慣れておくことをおすすめします。ユーザーに聴く前に予備調査で練習する理由は、本番で失敗を避けるためです。聴きたいテーマを決めて身近な人に複数回練習して、貴重な生の声を聴く機会にできるだけ多くの情報を集められるよう準備すると良いと思います。

EDPのススメ

EDPやデザイン思考基礎の授業を受けた後、業務でもインタビューをおこなうようになりました。断片的な情報から作られるユーザー像は想像に基づく部分が多く、実際のユーザーの声を聞くことで、自分の思い込みに気づけました。

思い込みを外せるため、実態に沿った視点の発想ができるようになることを実感しています。

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EDPは、イノベーションを創出するためのプロセスやチーム作りのヒントがたくさん詰まった箱庭的な授業です。ユーザーに必要とされる製品やサービスを作りたいと考えている企業やイノベーティブな人材を育てたい企業におすすめします。

 

東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト

 

・レポート

 2021年度EDP「キットイイネ」 ぽんでりんぐ

 2021年度EDP「Dressle」Team jaja

 

 

執筆

瀧本 沙季

さくらインターネット株式会社 企画推進部に所属。主にデザイン業務に携わり、デザイン思考を学んでいます。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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