さくらインターネットは、北海道石狩市に日本最大級の郊外型大規模データセンターを保有しています。その縁もあり、2021年4月1日に石狩市、NPO法人ezorockと「ワーケーション実証事業に関する覚書」を締結しました。これは、地域課題解決に関して検討をおこなっていた地域エコの取組みから派生したものです。石狩市は、関係人口の創出や人的交流(都会の人間を地方にマッチング)をワーケーションの形で実証することを目的としています。
その取り組みの一環として、さくらインターネットの社員が石狩市でリモートワークをしながら、さまざまな体験をする3泊4日のワーケーションをおこないました。
新型コロナの影響が少し落ち着いてきた2021年11月、石狩市浜益区にさくらインターネットの社員4名で訪問。浜益区の人口は約1200人、農産物や海洋資源が豊富な地域です。このワーケーションの参加者は「共同生活によるチームワーク強化」を目的としています。
【今回のワーケーションプログラム】
11月1日~11月4日の4日間
- 11月1日:移動→リモートワーク→懇親会(バーベキュー)
- 11月2日:リモートワーク→イチイの木見学→リモートワーク→フリータイム
- 11月3日:アクティビティ「ビニールハウスの設置手伝い」→リモートワーク→フリータイム
- 11月4日:振り返り→移動→終了
【1日目】ワーケーション施設でのリモートワーク
集合時に、抗原検査キットにより感染症チェックをおこなったうえで移動開始しました。札幌駅から車で約90分走り、ワーケーション施設「GULL」に到着。
この施設は2018年まで「カフェ・ガル」というカフェでしたが、ワーケーション施設として生まれ変わりました。
光ファイバーを引き込み、デスクやチェア、外付けモニターもあるのでリモートワーク環境は整っています。エアコンやストーブも完備されているので、寒い日や暑い日でも問題ありません。
オーシャンビューの景色が最高なので、リフレッシュしながら仕事ができます。
リモートワークをするうえでインターネット環境は重要ですが、とても安定しています。複数人が同時にZoomを使ったオンライン会議をしても問題ありません。充電するための電源も豊富で、ストレスなく仕事できます。モニターやスクリーンも用意されており、複数人で打ち合わせする際に便利です。
初日は懇親会も兼ねて、浜辺にある小屋でバーベキューをしました。
宿泊施設「浜益ベース」
宿泊したのは、NPO法人 ezorockの活動拠点でもある一軒家の「浜益ベース」と、石狩市の職員住宅の一室の2か所に分かれてお世話になりました。もともと石狩市の職員住宅だった一軒家をリノベーションした施設です。あたたかみのある、キレイな状態でした。建物は断熱性に優れているので、寒さは問題ありません。
ワーケーション施設から宿泊施設までは自転車で10分ほど。ホテルとは異なるので、身の回りの準備や片づけは自分でする必要があります。自転車で10分程度の場所にセイコーマートがありますが、21時までの営業なので買い物は早めに済ませましょう。
【2日目】黄金山にある「イチイの木」訪問
午前中はリモートワークをおこない、その後、黄金山にあるイチイの木を見学しました。イチイの木は推定樹齢1500年、高さは18m、幹回りは5.5mもあります。平成2年に環境省が調査した「巨樹・巨木林調査」イチイの部で全国6位、道内3位に入った巨木です。
まるでジブリ作品の中に入ったような、幻想的な世界観を楽しめます。リスもいて癒やされました。自然を満喫しながら山歩きできるので、とてもよい気分転換になります。働きながら現地の観光を楽しめる、まさにワーケーションのメリットです。
見学後は、ワーケーション施設に戻りリモートワークを再開しました。仕事が終わり、宿泊施設に戻ります。宿泊施設での食事は、基本的には自炊です。浜益区内にはスーパーがないので、事前に石狩市街地などで食料を調達しましょう。
一緒に調理し、食事をすることでコミュニケーションの濃度が一気に増したと感じます。
滞在中は、なかなか余裕がありませんでしたが、振り返ってみると大変楽しめました。
【3日目】ビニールハウス設置の手伝い
3日目は仕事の前にアクティビティをおこないました。
寺山ファームさんのビニールハウスを設置するお手伝いです。ビニールハウスの骨組みに用いるパイプを運びました。
作業の報酬としてバーベキューとおにぎりをいただき、非常に美味しかったです。食事の後には牛舎を見学させてもらい、畜産ビジネスについても説明していただきました。
寺山ファームさんは、牛の飼育から稲作や野菜の栽培など、幅広く手がけられているようでした。繁忙期は学生を雇うそうです。ドローンを何台も所有されていてスマート農業にも取り組まれているようでした。
【4日目】振り返り
ワーケーションプログラムを終えて、参加メンバーで振り返りをおこないました。それぞれに感想を言い合い、今後のワーケーションプログラムに活かします。
【感想】
豊かな自然の中、社内の人や現地の人と一緒に作業体験や食事をすることで、絆が深まったのを実感しました。
チームのコミュニケーション促進のための合宿プログラムとして活用できそうです。ただし、人によってはどうしても共同生活や環境に適応できない可能性もあるので、途中で抜けられるプランなどを考える必要があります。
2泊してどうしても慣れない場合は、それ以上滞在しても好転する可能性が低いと思います。2泊を目安に見極めるのがよいのではないでしょうか。
リモートワーク環境の充実と、豊かな自然環境や眺望のバランスがとれていたので、ワーケーションには最適です。
関係人口の創出という点では、間違いなく効果はあると感じました
ワーケーションまとめ
今後の取り組みとして、新入社員のワーケーション合宿を考えています。リモートワークによって対面の機会が減った新入社員同士が、コミュニケーションを取りながら絆を深めるためのものです。
さくらインターネットでは、2020年4月から働く場所にとらわれず活躍できる環境づくりを推進させるために、リモートワークを前提とした働き方にシフトしました。その結果、出社する社員は大幅に減少し、出社率は10%程度になりました。
業務はリモートで問題ありません。しかし、コミュニケーションについては顔を合わせ、一緒に何かを体験し、食事を取り、語らうことで一気に深まると思います。
社員同士でおこなうワーケーションは、その施策のひとつになるかもしれません。