「いただいた仕事は断らずに挑戦する」
そう語るのはモデル・フォトグラファー・ライターとして活動している、いのうえのぞみさん。2021年、モデルとしてクラウドファンディングで約600万円の支援を集め、写真集の製作を進めています。フォトグラファーとしては旅行やカメラ関連の連載を持ち、ライターとしては2018年に『ちょっとしたコツで10倍かわいく見える モテ[写]の教科書。』を出版しています。
そんなパラレルキャリアを実践し、さまざまな仕事に挑戦し続けているいのうえさんにお話をうかがいました。
いのうえのぞみさん プロフィール
1983年東京生まれ。16歳から芸能活動をおこなう。モデル・フォトグラファー・ライターとして活動中。旅行が趣味で世界一周を目指し、現在までに63か国を巡る。2018年『ちょっとしたコツで10倍かわいく見える モテ[写]の教科書。』(エムディエヌコーポレーション)を出版。2021年には「いのうえのぞみ写真集製作プロジェクト」をクラウドファンディングで開始。総額5,952,000円の支援を集める。
Twitter:@nononononozomin
公式サイト:いのうえのぞみ オフィシャルサイト
パラレルキャリアをはじめたきっかけ
ーーいのうえさんは、モデル・フォトグラファー・ライターとパラレルキャリアを実践されています。いろいろな仕事を並行しておこなおうと思ったきっかけについて教えてください。
学生の頃から写真が好きで「写真に携わるお仕事」をしたいと思っていました。
はじめてした仕事は、グラビアモデルです。撮影される側として、ベトナムに連れて行ってもらいました。そのときがはじめての海外経験です。そこで海外の異文化にカルチャーショックを受け、世界を旅したいと思いました。
20歳のときに、インドへ一人旅に行きました。いわゆるバックパッカーです。マザーテレサさんの施設でボランティアしたり、寝台列車やバスでインドをまわりました。まだ出始めのデジタルカメラで写真を撮りながら旅をして、ブログを書いていたんです。それがきっかけで、フォトグラファーやライターのお仕事もいただけるようになりました。当時はお仕事につながるとは思いもしませんでしたね。
モデルもフォトグラファーもライターも、自分がしたかった「写真に携わる仕事」なのでうれしいですね。
ーー20歳でインドへ一人旅はすごいですね。いのうえさんはこれまでに63か国を旅したそうですが、印象に残っている国はどこでしょうか?
20代のころはインドが好きでしたが、30代になってからはアフリカが好きですね。アフリカの中でもエチオピアに惹かれました。2019年にエチオピアで撮った南部民族の方の写真は、APA(公益社団法人 日本広告写真家協会)のコンテストで入選し、正会員にもなれました。
アフリカは世界最古の砂漠があるナミビアも好きですし、野生動物の生態が保たれているタンザニア・ケニアも好きです。
私の場合はいろいろな国を巡るというよりも、好きな国を見つけると何度も同じ国へ行きます。コロナ禍では旅行できずに残念ですが、これまでに撮影した写真を整理して過ごしました。
それぞれの仕事が好影響を与える
ーーご自身の中で「写真に携わる」軸があるそうですが、モデル、フォトグラファー、ライターそれぞれのお仕事の良さについて教えてください。
モデルの仕事の良さは、自分の知らなかった自分に出会えることですね。フォトグラファーさん、ヘアメイクさん、スタイリストさんなど、プロフェッショナルな方々のおかげで、でき上がった作品をみると「これが私!?」と発見できる楽しさがあります。一回一回のお仕事が夢の中にいるようで、貴重な経験をさせてもらえていますね。
フォトグラファーの仕事の良さは、旅先で出会った感動を形に残せたり一生に一度の瞬間に立ち会わていただけることです。撮影した写真を喜んでもらえたときは、この仕事をやっていて本当に良かったと思います。
ライターの仕事の良さは、自分の感じたことを発信できるところです。好奇心旺盛で感動するタイプなので、それを文章で書き伝えられたら、とても充実感があります。以前に私が書いた世界一周の記事をみて「同じところに行きたくなり、行ってきました」と読者の方に言ってもらえたときは、うれしかったですね。
ーーそれぞれの仕事が、ほかの仕事に活きると実感しますか?
そうですね。モデルとして撮影されているだけだと、フォトグラファーさんの気持ちがわからないこともあるかと思います。自分がフォトグラファーとしてモデルさんを撮る経験をしているからこそ、気持ちがわかるようになった気がします。より一層に感謝の気持ちも芽生えました。
たとえば、肌色を少し明るく調整してくれたり、出来上がりの写真がキレイになっていると「一生懸命、レタッチしてくれたんだな」と細かいところにも気づけます。視点が変わりますね。
パラレルキャリアを実践するうえで意識していること
ーーいのうえさんがパラレルキャリアを実践するうえで、意識していることを教えてください。
挑戦することです。いただいたお仕事は断らない気持ちでいます。どうしても難しい理由がない限りは、引き受けたいと思っています。
いただいたお仕事の中には「この仕事をするには力不足かも」と思うこともありますが、断ってしまうとご依頼いただいた方とのご縁もなくなってしまいます。できるか不安でも、仕事の日までにできることをすべてして挑戦するようにしています。
先日、インタビュー写真を撮影するお仕事をいただいたのですが、じつはインタビュー写真を撮るのがはじめてだったんです。なので撮影時間の2時間前から現場に行き、手伝ってくれたフォトグラファーの仲間と万全な準備をしてから本番の撮影に臨みました。
たまに自分には向いていないと思うお仕事をいただくことがあるのですが、そう思ってもとにかくやるように心掛けています。ご縁を大切にしたいです。
仮に失敗したとしても次につながる可能性はあると思うので、挑戦は大事です。諦めずにずっと続けていれば、失敗は成功までのプロセスになります。やりたいことができるようになるまで、夢が叶うまで、諦めないことも大事ではないでしょうか。
もちろん生活にお金は必要なので、何でも引き受けるわけにはいきませんが、まずはお話を聞くようにしています。
いのうえさんが熱量を込めておこなっている仕事
ーー現在、いのうえさんが一番熱量を込めておこなっているお仕事について教えてください。
クラウドファンディングを活用して、写真家の福島裕二さんと一緒に写真集を製作しています。サイズが大きく、ページ数も多くて出版社ではつくれない規格なので、クラウドファンディングで資金を集めて、自分たちで製作しています。質にこだわって印刷も特注でお願いしています。
いま製作の最終段階で、11月末に完成してお渡しできる予定です。それに合わせた写真展の準備も進めています。
モノクロ作品集『I/F』と写真集『Y/N』、2冊セットで製作中です。『I/F』は、福島裕二さんのモノクロ作品をもっと世の中に広めたいと思って作っています。『Y/N』は私のモデルとしての集大成で、20年分の思いが詰まっています。
今回のクラウドファンディングは多くの方に支援していただけました。「All-or-Nothing方式」という、目標金額を達成した場合のみ支援金を受け取れる方式にしたのですが、達成できました。普段から支えてくださっている方や、グラビア時代から20年以上も応援してくださる方もいらっしゃるので、本当にありがたいです。完成するのが待ち遠しいです。
いのうえさんが考える「やりたいこと」を「できるに変える」ために必要なこと
ーーさくマガのコンセプトが「やりたいことをできるに変える」なのですが、いのうえさんがやりたいことをできるに変えるために必要だと思うことを教えてください。
フリーランスの場合「やりたいこと」を実現させるためには、やりたいことだけをやっていればよいわけではありません。生活にはお金が必要なので、何か安定した収入源を持っておく必要があります。そうすれば、お金を気にせずに自分のやりたいことや、やりたい仕事に挑戦できると思うんです。
昔は多くの会社が、副業やパラレルキャリアに否定的だったように感じます。でも最近は、認めてくれる会社も増えてきましたので、働きながらでも挑戦できますよね。やりたいことと生活の安定を両立していくことが大事だと思います。そのほうが精神的にも楽ですし、成長にもつながると思うんです。
いのうえさんからのお知らせ
いのうえのぞみ×福島裕二写真展#03
祝クラウドファンディング モノクロ作品集『I/F』・ 写真集『Y/N』完成記念
日時:11/19(金) ~11/28(日)
時間:平日13:00~20:00 水・木曜休み、土日祝11:00~20:00
料金:入場無料
場所:〒150-0001東京都渋谷区神宮前3-5-2EFビルB1F AtelierY -青山
パラレルキャリアにも挑戦できる!さくらインターネット 採用サイト