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競馬実況がうますぎる石堂響騎手に、騎手の仕事についてインタビュー

インターネットで馬券が買えるようになったことや、スマホゲームアプリ『ウマ娘』の人気も影響して、競馬の人気が高まっているそうです。

日本の競馬には「中央競馬」と「地方競馬」があり、1948年に施行された競馬法に基づいて開催されています。中央競馬は日本中央競馬会(JRA)が主催し、地方競馬は地方自治体や地方自治体から構成される一部事務組合が主催。

地方競馬は全国で17か所(中央競馬と併用している2か所を含む)の競馬場があり、年間通してほぼ毎日どこかの競馬場でレースが開催されています。

今回は地方競馬の園田競馬場で活躍している、石堂騎手にお話をうかがいました。競馬実況がうますぎる騎手としても注目される石堂騎手に、どうして騎手を目指そうと思ったのか、騎手になるまでに苦労したことなどを聞きました。

石堂 響(いしどう ひびき)さん プロフィール

石堂 響(いしどう ひびき)さん プロフィール

1999年生まれ、大阪府出身。2018年に園田競馬場で騎手デビュー。その年に44勝を挙げて園田競馬の新人最多勝記録を更新。2019年にJRAで初騎乗。競馬実況がうますぎる騎手として話題を集める。

騎手になることが子どもの頃からの夢 

騎手になることが子どもの頃からの夢

――本日はよろしくお願いします。騎手のお仕事は非常に珍しいので、いろいろお聞きしたいことがあります。石堂騎手は、どうして騎手を目指したのでしょうか?

もともとお母さんとおじいちゃんが競馬好きで、昔から競馬場に連れて行ってもらっていました。競馬場で走っている馬を見て、その上に乗ってる騎手がカッコいいと思ったのが、騎手を目指したきっかけです。

その後、駄菓子の占いで「君はいつか騎手になるかも」と出たことも背中を後押ししてくれました。そのときには騎手になりたいと思っていたので。

テレビ番組の『探偵!ナイトスクープ』に出させてもらったときに、その駄菓子を作っていた方にお会いできました。

――『探偵!ナイトスクープ』の内容は話題になりましたよね。騎手になろうと思ってから、騎手になるまでに大変だったことを教えてください。

何が一番大変だったかといえば、学校生活ですね。

地方競馬の場合は2年、中央競馬の場合は3年、騎手になるための学校に通う必要があります。僕は16歳のときに、栃木県にある地方競馬教養センターに入りました。全寮制の学校です。

とにかく体重管理や日常生活の規律が厳しいんです。ご飯も決められた量しか食べられないし、外出もできません。近くにコンビニもありますが、もし行ったことがバレたら退学処分になる可能性もあるので、誰も行きませんでしたね。

僕の場合、体重管理はそれほどつらくなかったですが、規律が厳しくて大変でした。

2年間、めちゃくちゃしんどかったです。騎手のみんなは、その厳しさを乗り越えています。

――大変な学校生活を乗り越え、念願の騎手になれましたが、騎手になってからうれしかったこと、つらかったことはなんでしょうか。

もちろんレースに勝ったときが一番うれしいんですけど、競馬場に友達が見に来てくれるのはうれしいです。友達から、僕が勝って馬券外れたって野次られることもありますけど(笑)。

つらかったのは、結果が出せなかったときです。結果を出せるように、馬の調教や体調管理を続けています。

騎手のタイムスケジュール

騎手のタイムスケジュール

――友達が騎手になるのは珍しいから、応援したくなりますよね。馬の調教についてお話がありましたが、騎手の仕事ってタイムスケジュールはどのような感じでしょうか。レースがない日とある日のスケジュールを教えてください。

僕の場合、レースのない日は、深夜の午前1時から午前9時まで馬の調教をします。レースに出るためのトレーニングですね。調教すればするほど、馬の特性がわかってきます。調教が終わってから自由な時間なので、好きなゴルフをしたりして過ごしています。みんなが働いている時間に休んだり、遊びに行ったりなので、昼夜逆転してますね。

レースのある日は、深夜の調教が終わったらレースに行きます。午前10時くらいから17時くらいまでレースです。それが終わったら寝て、また深夜1時から調教です。レースのある日は結構大変なスケジュールですね。

学校に通っていたときも大変でしたが、騎手になってからのほうが大変ですね。レースがあると、メンタル的にもピリピリしますし。

武豊騎手とのエピソード

――9歳のときに朝日新聞の企画で武豊騎手に取材をしたそうですが、ご自身が騎手になった現在、このときのことをどう思いますか?

当時はめっちゃ緊張して、武豊さんの目も見れなかったんです。取材したときには騎手になりたいと思っていました。

騎手になって、2019年にJRAの紫菊賞で武豊さんと一緒にレースで走れました。貴重な経験をさせてもらいましたね。あらためて振り返っても、すごいことだと思います。子どものころに取材させてもらった話もしたかったのですが、レース当日だったので「よろしくお願いします」としか言えなかったです。

「騎手は全員競馬実況もできる」と思っていた

――ドラマのようなお話ですね。石堂騎手は騎乗だけではなく、競馬実況も評価されていますが、実況をしようと思ったきっかけについて教えてください。

競馬を映像で見ると、馬が走っていて、その上に騎手が乗っていますよね。そこに実況の音声が聞こえてくるじゃないですか。もちろん、それ以外にも携わってる人はたくさんいるんですけど、人前で何かをするのは騎手か実況アナウンサーなわけです。

僕はもともと目立ちたがり屋なので、将来は人前に出る、騎手か実況アナウンサーのどちらかになりたいと思っていました。なので騎手としてではなく、実況のお仕事もいただくとうれしいですね。

実況については独学で、放送されているレースを実況して練習してました。練習というか、楽しくてやっていた感じです。アナウンサーとしては、ラジオNIKKEIの中野雷太アナウンサーと関西テレビの岡安譲アナウンサーに憧れています。

――騎手だけでなく、実況アナウンサーになる道もあったわけですね。ほかに実況もできる騎手の方はいないですもんね。

僕、学校に入る前は「騎手は全員実況もできる」と思ってたんですよ。ホンマに思ってました。学校が休みのときに、部屋にみんなで集まって競馬を見るんですね。そこで実況したら、みんなが「うまっ!」って反応するんです。

そこで「あれ? みんな騎手目指してるのに実況できないんや。自分だけか」と気づきました。

石堂騎手が普段使っているアプリ

石堂騎手が普段使っているアプリ

――最近、スマホアプリの影響もあり、競馬ブームが来ているようですが、騎手の立場で体感することはありますか? 石堂騎手が普段使っているアプリやインターネットサービスも教えてほしいです。

『ウマ娘』ですよね。でも、騎手の立場でブームを体感することはないです。僕はウマ娘やったことがないんですよね。アプリはYouTube、TikTok、Instagram、Twitter、LINEくらいしか使わないです。

インターネットを使って、JRAの馬券を買いますよ。僕ら地方競馬の騎手は、JRAの馬券を買っても大丈夫なんです。あとボートレースも好きなので、舟券も買います。

――騎手の方が馬券を買うと、一般の人に比べて勝率が良いんですか?

いや、全然そんなことはないです。自分が乗るレースを予想するなら当たるかもしれません。それでも、どうなるかわからないですね。

自分でも「今日の相手は厳しいやろな」と思っても、勝てる場合もあります。乗る以上はみんな勝とうと思って乗ってますから、どうなるかはわからないんです。

――レースだとライバルになるわけですが、騎手同士で普段コミュニケーションを取ることはあるのでしょうか?

ありますよ。調教のときに話しますし。レースになったらライバルだけど、普段は仲いいです。一緒にゴルフ場へ行ったりしてます。

石堂騎手の「やりたいこと」

――石堂騎手が「インターネットがあったからこそできたこと」について教えてください。

もともと実況動画をTwitterにアップしたものがバズりました。これをきっかけにお仕事をいただく機会も増えました。本業は騎手ですけどね(笑)。

――さくマガのコンセプトが「やりたいことをできるに変える」なのですが、が今後やりたいと思っていることと、それをできるに変えるために努力していることを教えてください。

騎手をずっと続けて、もっともっと勝ちたいです。

騎手としての技術も必要ですが、強い馬に乗れたら勝てる可能性は高まります。そのためにも、周りと明るくコミュニケーションすることを意識しています。暗い人より明るい人のほうが、強い馬に乗るチャンスは増えると思うんです。僕の場合は、もともと明るい性格だとは思いますが。

あとは実況アナウンサーになりたいですね。ってこんなこと言うたら怒られますよ(笑)。

――石堂騎手、ありがとうございました!

 

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執筆

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

編集

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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