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絶滅寸前。インターネットを支えた「功労者アイテム」大集合

絶滅寸前。インターネットを支えた「功労者アイテム」大集合

インターネット世界の進歩とともに、日進月歩で成長していくPCやスマホ。そこはノスタルジーが通用しない世界だ。

たとえば「iPhone 3G」を現役で使い続ける人など、ほとんどいないように、「古き良き」はなかなか成立しない。新しいもののほうがだいたい、ほぼすべてにおいて勝っている。

4K動画に、処理の重い3Dゲーム。年々パワーが必要になるネットコンテンツを楽しむには、それに応じたパワーが必要だし、最新のPCなどが必要になる。

そんなコンピュータとインターネットの進化に従い、とうとう使われなくなっていった周辺機器たちがある。

いつの間にかなくなってしまったアイテムたちに、今こそさよならを言おう。

机をドーンと占領した「CRTディスプレイ」

まずインターネット黎明期から活躍したのが「CRTディスプレイ」。いわゆるブラウン管テレビと同じ方式のものだ。

▲このCRTディスプレイが大量に並ぶ当時のパソコン室は何やら物々しい(Photo by Ben Schumin)
▲このCRTディスプレイが大量に並ぶ当時のパソコン室は何やら物々しい(Photo by Ben Schumin

見ての通り、今の液晶ディスプレイとは比べものにならないくらいの奥行きがあり、机の面積が根こそぎ占領された。当時はこれに電磁波などを防ぐ妙なフィルターを付けていた人も多かった。

当初のCRTディスプレイの画面は湾曲していたが、90年代後半になってくると、平らなフラット型が登場。ゆがみなく画面が映るのはうれしかった。

画面サイズも95年ごろの14インチから、15→17インチと徐々に大きくなる。今の液晶にはない独特の映りも、黎明期のインターネットからにじみ出る雰囲気を形作っていた。

2000年代半ばくらいまではよく使われていた。筆者が過ごした当時の大学のインターネット室でも、当時のドーンとしたタワー式デスクトップPCに加え、このドッシリしたCRTディスプレイが並ぶ。

ちなみにそのPCたちは「基本ソフトがWindows 98SE、PCの心臓部であるCPUがPentium II 400MHz」くらいの、当時でも時代遅れのスペック。なかなかサクサク動いてくれず、学生たちは大学の財政状況が心配になった。

なお当時の液晶ディスプレイは、今とは比べものにならないほど高額だから、なかなか買えない。なにせ1998年の秋ごろは、1,024×768ドット対応の15インチTFT液晶ディスプレイが13万円前後もした。

しかし4年経つころには急速に値段が下がり、同型で2万円台のものも登場。筆者も翌年ごろに17型液晶ディスプレイを手に入れ、大画面と取り回しの良さに感動した。恥ずかしながら、その主目的はエッチな動画鑑賞であったのだが。

以降、その利便性から液晶ユーザーが一気に増えて、CRTディスプレイは一気に過去へと葬り去られた。

1998年に登場したiMacもCRTディスプレイが使われていた(Photo by Marcin Wichary)
1998年に登場したiMacもCRTディスプレイが使われていた(Photo by Marcin Wichary

ちなみに、CRTディスプレイ最大のスターが「iMac」だ。経営不振でギブアップ寸前まで追い詰められたアップルが、まんまるいブラウン管のフォルムを逆手に取ったデザインで勝負し、大ヒットした。初期はしばらくCRTのモデルが使われ、のちに液晶へと移り変わった。

シビアな操作感の「ボール式マウス」

▲真ん中にあるボールをグリグリ動かして動きを伝える仕組み(Photo by Raymond)
▲真ん中にあるボールをグリグリ動かして動きを伝える仕組み(Photo by Raymond

CRTと同じように、もはや跡形もなく消えたものが「ボール式マウス」だ。

マウスの底面に付いている、ボールを転がしてその動きをカーソルに伝える方式。物理的に転がす必要があるので、使ううちにゴミがたまって動きが悪くなった。

しかし掃除をするには軽く分解する必要があり、それも面倒なのでそのまま使っていたら、どんどん調子が悪くなってドツボにハマる。それでも当時はみんな「こういうもの」とガマンして使っていた。

ボール式マウスをPCへつなぐには「PS/2コネクタ」なる端子がつきもの。小さな穴が数本空いていて、よーく見てきっちりピンを合わせて入れないと、ピンが折れてしまう。恐怖のずんどこデバイスだ。

▲PS/2コネクタはキーボードの接続にもよく使われたが、「USB」の急伸でシェアはたちまち壊滅する
▲PS/2コネクタはキーボードの接続にもよく使われたが、「USB」の急伸でシェアはたちまち壊滅する

そしてボール式マウスの息の根が止まるときは来た。マウスの下に照射する光で動きを読み取る「光学式マウス」の登場だ。

ボールマウスのような物理的な制限がなくなるので、じつにスムーズに動かせる。感動するほどの使いごこちだった。下がガラス張りだとマウスパッドなしでは使えないなどのデメリットはあったが、微々たるもの。

マウス界の真打ち・光学式マウスを前にして、ボール式マウスのメリットはほとんどなく、哀愁とともにゴミ捨て場へ敗走した。

データ容量は画像一枚並み?「フロッピーディスク」

90年代から2000年代初頭くらいまでは、まだまだ記録メディアとして「フロッピーディスク」が使われていた。当時のみんなが持っていて、新たにデータをメディアへ書き込めるドライブは、フロッピーディスクドライブくらいだったのだ。

秋葉原ではジャンク扱いのフロッピーディスクを100円で買える
▲秋葉原ではジャンク扱いのフロッピーディスクを100円で買える

大きめの画像一枚ほどの「1.44MB」という恐ろしい低容量を駆使して、何とかやりくりした。なお2021年をときめく「ウマ娘」の場合、6GBほど必要になる。フロッピー約4,300枚ぶんだ。

しかし当時は重い画像やソフトなどがあまりなかったため、1.44MBでもどうにかなる。2000年代半ばの大学の授業でも、まだ使われていた。

だが、さすがに容量が少なすぎる。CD-Rなどが書き込み可能のドライブや、当時すでに32MBほどの容量があったUSBメモリが登場して、どんどんシェアを奪われた。

ちなみに当時はさまざまな規格のメモリーカードが乱立していた。もうあまり出回っていないコンパクトフラッシュ(左)と、影は薄くなったがまだ量販店でも買えるメモリースティック(右)。結局SDカードが覇権を奪った。
▲ちなみに当時はさまざまな規格のメモリーカードが乱立していた。もうあまり出回っていないコンパクトフラッシュ(左)と、影は薄くなったがまだ量販店でも買えるメモリースティック(右)。結局SDカードが覇権を奪った。

ほとんどのノートPCにあった「CD-ROMドライブ」

「ここ15年で一気に出番が減ったもの」の代表格といえば、CD-ROMなどの媒体を読み書きするドライブだろう。かつてCD-ROMドライブはほとんどのPCに付いており、さらに言うと「CD系ドライブがないものはパソコンにあらず」くらいの、絶対的存在だったのだ。

筆者私物のCD-ROMなどの読み書きができるドライブ。別途電源の必要なタイプが多かった
▲筆者私物のCD-ROMなどの読み書きができるドライブ。別途電源の必要なタイプが多かった

ただし当時もモバイルPCなどでCDドライブを廃したモデルもあったが、何だか「剛の者」といった雰囲気すら醸し出していた。ただしCDドライブなしモデルを使うにも、外付けCDドライブは欠かせなかった。

なにせ2000年代初頭くらいまでは「ダイヤルアップ接続」が主流だったから。回線速度が今の100分の1にも満たないような遅い回線で、大量のデータをダウンロードするのはしんどいのだ。

そこでCD-ROMの出番である。何しろCD-ROMは650~700MBものデータ容量で、フロッピーディスクの約470倍もの大きさがあった。

データ量の大きいソフトは、みんなCD-ROMドライブを使ってインストールした。

やがてDVD-ROMが登場し、片面4.7GBとさらに約7倍もの容量になったから、より大きなデータを扱えるようになった。

筆者私物のCD-ROM。雑誌やムックに付いていて、コンテンツやソフトを楽しんだ
▲筆者私物のCD-ROM。雑誌やムックに付いていて、コンテンツやソフトを楽しんだ

当時はCD-Rなどが書き込めるドライブも出回り、さらにはDVDが読めてCD-Rなどにデータを書ける機能を併せ持った、憧れの「コンボドライブ」が登場する。

筆者も、TSUTAYAで借りたCDをどんどんCD-ROMドライブからWindows Media Playerに取り込んだし、インターネットでダウンロードした動画も、容量が足りなくなったらCD-Rに焼いてストックした。

さらに高級なものだと「DVDを書き込めるドライブ」や、「ブルーレイディスクが読み込めるドライブ」も出た。その両方ができる外付けドライブをはじめて買ったときは、高揚感があったものだ。

しかし、通信速度の高速化に加えて、2004年に登場した「データ便」などのファイル転送サービスも主流になり、そもそもCD-Rにデータを焼いて渡さなくても済むようになった。

ソフトもダウンロードから入手できるようになり、しかもパッケージで買うより少し安かった。

それからほとんどのデータはネット上でやりとりするようになり、CD-ROMらは急速に活躍の場を失った。

ちなみに筆者が働いていた2017年時点でのテレビ番組の制作では、まだDVDがバイク便で送られていた。2021年現在もやっているかは不明だが。

時代が生んだレアアイテム「インターネットワープロ」

なおPCが急激に普及していった90年代後半、ひとつのガジェットが死に絶えようとしていた。ワープロだ。1995年にWindows 95の隆盛からPCが一気に普及し、ワープロがやっていたことはパソコンでほとんど賄えてしまうため、需要が激減する。

生き残りをはかるために「インターネットワープロ」なるものが登場し、ワープロでもインターネットを使えた。時代を感じさせる独自ブラウザで動いていた。

筆者所有のSHARP書院シリーズ「SERIE MR-2(1997年発売)」
▲筆者所有のSHARP書院シリーズ「SERIE MR-2(1997年発売)」

しかし、それでもPC優位の流れは止められず。数年後にワープロは新作機種の開発を終了し、一部のこだわり派が細々と使うものとなった。

PCとケータイの中間「PDA」

少しだけマニアックな話だが、PCと携帯電話以外の第3の存在として「PDA」があった。

キーボードのあるPCタイプと、ペン型のスタイラスで操作する携帯端末タイプがあり、「PCよりは持ち歩きやすく、携帯電話よりは本格的なコンピュータ」として、インターネット接続やちょっとした作業で地味に活躍する。

5型液晶でWindows CEを搭載したシグマリオン3(2003年発売)。2000年登場の初号機は筆者も持っており、メモ程度に使っていた(Photo by contri)
▲5型液晶でWindows CEを搭載したシグマリオン3(2003年発売)。2000年登場の初号機は筆者も持っており、メモ程度に使っていた(Photo by contri

このPDA、筆者もいくつか持っていた。今ではあまり理解されにくい感覚だが、実用に使うというより「インターネットにつなぐこと」自体を楽しんでいた。

一風変わった小柄なPCっぽい端末からインターネットにつなげるだけで、何だかスペシャルな時間だったのだ。

しかし2008年のiPhone 3Gの登場から「スマートフォン」が台頭し、アッという間にその座を追われた。

無線LAN化で活躍「PCカードスロット」

当たり前のようにあったのに、いつの間にかものすごい勢いでなくなったのがノートPCのカードスロットだ。

所有する2002年製ノートPC・WL2120(SOTEC)に無線LANカードを挿したところ
▲所有する2002年製ノートPC・WL2120(SOTEC)に無線LANカードを挿したところ

装着すればフラッシュメモリになったり、USBポートを追加できたり。数々の役目を果たせるスロットで、一時はだいたいのノートPCについていた。もっとも脚光を浴びたのが、無線LAN機能を追加する役目だろう。

当時は無線LAN機能が非搭載のノートPCも多く、カード型の無線LANアダプターが重宝した。有線コードをつながずにインターネットができるのは、何だか不思議でうれしかった。

しかしほどなく、ノートPCに無線LAN機能が標準搭載されるようになる。電話会社のモバイル通信カードを装着する役割も、やがてポケットWi-Fiやテザリングが主流になって薄れていき、活躍の場が減る。

端子がUSBやUSB-Cなどに集約されるなかで、気がつけばカードスロットを採用するノートPCは、ほぼ絶滅した。

近い将来「ハードディスクドライブ」も仲間入り?

以上、駆け足で見てきた「絶滅が近づくインターネット関連アイテム」たち。

これからその仲間入りをしてしまうかもしれないのは、PCの記録メディアの代表格だった「ハードディスクドライブ」だろうか。

筆者私物の外付けハードディスクドライブ。当時はポータブル型より電源をつなぐ大きいものが主流。いつの間にか動きが悪くなるのもあるあるだ
▲筆者私物の外付けハードディスクドライブ。当時はポータブル型より電源をつなぐ大きいものが主流。いつの間にか動きが悪くなるのもあるあるだ

まだ採用するPCも多いが、何しろ動作は遅いしすぐ壊れる。ハードディスクの故障でデータが消えて、地獄に突き落とされた人は数え切れない。

筆者も内蔵&外付け両方のハードディスクを壊したし、「よくこんなもの当たり前に使ってきたなあ」とまで思えるシロモノである。

いまだ「とにかく安くて容量が大きい」という利点により、ガマンして使い続けている人も多いが、すでにノートPCでハードディスクを搭載するPCはどんどん減ってきた。

今後SSDの値段が急激に安くなったら、メリットを失ったハードディスクは絶滅へ向かうかもしれない。

しかしこれらはすべて、今まで大変お世話になったアイテムたちだ。あのときの未来、今へ大事なバトンをつないでくれた。その功績はなくなることなどない。

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執筆

辰井 裕紀

卓球と競馬とサッポロ一番みそラーメンが好きなライター、番組リサーチャー。過去には『秘密のケンミンSHOW』を7年担当しておりローカルネタが得意。

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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