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副業作家が考える、モチベーションの保ち方

副業作家が考える、モチベーションの保ち方

忙しい。忙しかった。……と、言いたくない愚痴を言ってしまうくらいには、なんだか私の2020年5月は忙しかった。

いや、わかっている。忙しいと言っても、いいことなんて、ひとつもない。人に忙しいと伝えたところで忙しさは減らない。忙しいって言いまくってる人に仕事を依頼する気にはならない(かもしれない)。そもそも聞くほうもうっとうしい。絶対、言わないほうがいい。

のだが、5月に関しては「あああ忙しい」と口から思わず言葉が飛び出してしまった。

もちろん仕事が忙しいことは、個人事業主的にはとてもありがたいことだ。

そう、ありがたいことなのだ。仕事が来るのはとても嬉しい(なんなら書き仕事をしていて一番嬉しい瞬間はもしかしたら依頼が来る瞬間かもしれない……とたまに思う)。

でも忙しくなってくると、そのありがたさをつい忘れてしまう。忙しい時いちばん難しいのって、いわゆる「モチベーション」の部分じゃないだろうか。

というわけで今回は、前振り長くなりましたが、フリーランスも会社員も離れられない「仕事のモチベーションってみなさんどうしてますか!?」問題について書いてみたいと思う。

モチベーションは文章の質に影響する

モチベーションは文章の質に影響する

仕事のモチベーション。

……という言葉を、鼻で笑う人がいるのは知っている。そういう人は、たいていこう言う。

「仕事はモチベーション由来でおこなうものではないです、そこに仕事があるから仕事をするんですよ」

たまに見かけるこの言葉。私は、ある点においては同意する。

なぜならたしかにモチベーションが上がろうと下がろうと、仕事はやってくる。個人の動機付けに関係なく、やらなきゃいけないことはやらなきゃいけない。仕事だけじゃなくて、家事や勉強も同じだろう。

でも一方で、「そうはいっても……仕事のモチベーションって上がったり下がったりするもんだよなあ。そんでそこをコントロールできたら楽だよなあ」とも思う。

とくに私の副業はフリーランス書き仕事。モチベーションが(私の場合は)文章の質に影響してしまうのだ。

やっぱりできるだけ自分のテンションを上げて書いたほうが、いいものが生まれる。文章は、どうしたって自分のいまの状態がそこに反映されてしまうから。

もちろんモチベーションが低いときにも質を下げない努力は、すべきなんだけど。でも、どちらかというと質を下げないためにモチベーションを高く保つほうが、私は楽で手っ取り早い作業だと感じる。

……なのだが、今月のように忙しいと「あああもう何もせず温泉につかって一か月くらい休みたい」「ただただ豪邸で飼われる猫として生まれ変わり日向ぼっこして一生を終えたい」「ていうかもう本と漫画だけ読んでいられる空間に行きたい」と口から呪詛が出てくる。これはあかん状態である。よろしくない。

忙しくても自分の書き仕事のモチベーションを保つ工夫って何かないのか? 私は今月、そんなことを粛々と考えていた。

モチベーションを保つ工夫

モチベーションを保つ工夫

出てきた傾向および対策は、こんな感じである。

①  締め切りを守る(守れる状態にする)

……初っ端から封じ手。しかしとにもかくにも、ここだよな! と叫ぶほかない。

実はこの原稿も締め切りを過ぎており、心の底からごめんなさいと思いながら書いているのですが。ごめんなさい! しかし原稿の締め切りを守れないときというのは、たいてい自己嫌悪でモチベーションが下がる。そしてさらにいい文章が出てこなくなる。悪循環に陥ってしまうのだ。

いや、締め切りを守らない自分が悪いんだけど、守れない自分を直視するとどうしても「もうやだ~」と頭を抱えてしまうのだ。

こういうこと、ありませんか!? 能力低い自分を目の当たりにして、自己嫌悪で、さらにその仕事への腰が重くなる、メールの返信も遅くなる、みたいなこと。会社員でも他の業種でもあるんじゃないかな。

もちろんやるしかないのでやるんだけど。しかしできるだけもう少し楽しく原稿に取り掛かれたら嬉しい。そのためには、やっぱり締め切りを守る(そして自己嫌悪に陥らない……)しかないのだ。

そんで、守れなさそうだったら、前々から締め切りをずらしてもらえないか交渉することも大切なんだと思う。自分を過信せずに頑張りたい。

締め切りを守れる状態をつくっておく! 無理そうならその旨を伝える! はい、リピートアフターミー。自分への説教みたいになってきましたね。

②  睡眠を大切に

忙しい時のなにが悲しいって、睡眠時間が減少することだ。

私は仕事が忙しい時も、どうしたって本や漫画を読む時間を減らせない性分なのだが、それによって圧迫されるのは睡眠時間である。

本や漫画を読む時間は「精神的チャージ」で、睡眠時間は「身体的チャージ」。だとするとどうしても前者を優先してしまうのだが、優先しすぎると、まあ身体的につらくなる。

わかっていても減らせない、本や漫画を読む時間。しかしできるだけ睡眠に時間をまわす努力はしたいものである。

そんでいつかは、本や漫画を読みながら眠れる方法をだれか開発してほしいものです……。

③  自分の理想の仕事を手元においておく

なにを書いてもいまいちな文章しか出てこないとき。書けないよ~と嘆きそうになるとき。私がたまにやっていることがある。

それは「自分の理想の文章」で書かれた本を読むことだ。

いま自分が手をつけようとしている原稿は、こんな感じの文章、こんな感じのテイストで書きたいんだよなあ。……そう思える理想像を、自分の読んできた本のなかから選ぶ。私はそういう作業を書き始めによくやるのだが、その理想像を、もう一度読み返すのだ。

すると、その文章のテンションに引っ張られて、するっと書きたい文章が出てくることが多い。

もはやお守りみたいなものだけど。「ああそうそう、こういうものを書きたかったんだ」と理想像を確認することは、モチベーションを保つひとつの有効な方法だと思う。

もちろん理想像は、必ずしも文章でなくてもいい。私の場合は音楽や漫画やドラマであることもあるし、ほかの媒体もあるだろう。

「これをやりたかった」と思い出すことは、モチベーションを取り戻すのに、手近な方法ではないだろうか(あんまりやりすぎると時間とるけど!)。

④  自分より忙しい人のブログを読む

これは本当に俗っぽい手段なんですが……。しかし私はたまにやる。けっこう効く。

私の場合は、大学教授である内田樹さんの、2002年くらいのブログを読む。もともと内田樹さんの本は好きで読んでいたのだが、それはもう多作な書き手なのである。

とくに2002年あたりはものすごい。その年の正月のブログでは、親御さんに「今年は7冊本を出す」と宣言している場面が出てきたりする。ものすごい。7冊って。しかもその年に出したラインナップを見ると、どれも名作ばかりなのだ。ものすごい。

こういう、自分より忙しくて自分よりすごい人のブログを読んでいると、なんとなくその人の生きるペースがうつるような気が……してくる。気がするだけなんだけど。

さらに「自分なんてまだまだである」と思い出させてくれるのも良い。私の性格上、忙しいときは視野が狭くなりがちで、自分が自分が、とエゴむき出しになりがちなので。できるだけそれを避ける手段としても有効だと思う。

自分と似た業種で、自分より忙しい人のブログやTwitterを見ると、ちょっと元気になる……かもしれない。どうでしょう。

まとめ

というわけで、私の考えた忙しい時のモチベーションの保ち方(あるいは今後やりたい保ち方)でした。どうだろうか。汎用性はあまりないかもしれないけれど。私は書き仕事に関してはこんな感じでやっている。

毎日元気で楽しくやっていけたらオッケーなんだけど、まあ、そうもいかない時もある。だからできるだけ工夫して、モチベーションを保ったまま頑張りたい。

皆さんのモチベーションの保ち方もぜひ聞いてみたい。具体的なライフハックがあれば教えてください!

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執筆

三宅 香帆

書評家・文筆家。1994年生まれ。 『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』などの著作がある。

編集

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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