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インターネットをきっかけに結婚するということ。世はまさに、大婚活時代

インターネットをきっかけに結婚するということ。世はまさに、大婚活時代

マッチングアプリで出会って、結婚する。株式会社エウレカが運営する恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」から爆発的にヒットした婚活サービスを通じた成婚は、今や全体の1割を超えた。

(参考:婚活実態調査2020 リクルートブライダル総研調べ

インターネットにズブズブ耽溺(たんでき)した人間からすると「人って、こんなに変わるんだ」と驚きを隠せない。少なくとも2000年当時、「ネットで結婚」は変わり者扱いだった。

すべてはWindows98から始まった

すべてはWindows98から始まった

Windows98は、世界を塗り替えた。1998年の11月、日本のインターネット利用者数が1,700万人になった。TikTokが950万人、Instagramが3,300万人だから、ちょうどその間くらいの人口が「全インターネットユーザー」だったわけだ。

インターネット利用者が1997年のおおよそ倍に膨れ上がった理由は、Windows98の登場が大きい。いまは「Windows10」とバージョン名で記されるマイクロソフトのWindowsも、当時は95, 98, 2000と発売年を冠したネーミングが多かった。

日本総研によると、1998年に急増したと言われるのが「女性のユーザー」だ。それまではエンジニア、プログラマが中心になっていたため、男女比に偏りがあったインターネットの世界に、女性が参入してきたのである。

ちなみに私がネットをちゃんと?始めたのが2000年ごろ。つまり、女性ユーザーが急増した98年からやや遅れて、私も突入したこととなる。

結婚どころか「女」と名乗りづらい世界線

当時、「インターネットを楽しむ」方法は主に3つあった。ひとつは、ネットサーフィン(検索)をして調べること。次に、自分でサイトを作って発信すること。最後に、掲示板で交流することだ。

掲示板としての最大手は、匿名性が売りだった2ちゃんねる(現在は5ちゃんねる)であり、地元の旨い店からサブカル、アングラな話まで話題のメッカだった。大量にある掲示板はおおまかなカテゴリに分かれ、どこかしこのジャンルに定住する人が多かった。

そして、既女板(既婚女性の集まる掲示板)、喪女板(モテないと自称する女性の集まる掲示板)、恋愛サロン(恋愛系の雑談をする掲示板)など一部のグループを除き、女性が女性であることを堂々と書き込める文化は、当時の2ちゃんねるにはなかった。

女とバレたからといって強烈にバッシングされるとは限らなかったが、前提が「男同士の馴れ合い」にあったことは確かだ。そこに恋愛要素が絡むことはあまりなく、ロマンスの欠片は突発OFF板(突発的に現実で会うことを目的とした掲示板)などに限定されていたかと思う。結婚どころか、女って言いづらいんですけど……というノリがあったように思う。

「電車男」とmixiで変革が起きた2004年

「電車男」とmixiで変革が起きた2004年

インターネットと恋愛が、初めて一般的になり始めたのは電車男と、mixi……いずれも2004年の話だ。

2ちゃんねるが趣味になっている男性が、現実で暴漢に絡まれた女性を助けたことを掲示板に書き込んだ。それをきっかけにリアルタイムで「ネットの住民がリアルの恋愛を応援する」現象を巻き起こした。そして現実の物語はドラマ化、映画化され、サエない男性が掲示板ユーザーのアドバイスで生まれ変わり、素敵なパートナーに育って行く様子は共感を呼ぶ。ここから、2ちゃんねるの知名度は非インターネット利用者にまで広まった。

そして、「招待制」でしか参加できないSNS「mixi」が登場した。私は2ちゃんねるでコテハン(固定のアカウント名)を持つ人から、招待をもらって参加した記憶がある。SNS自体が新しかった当時、自分だけのページを持てて、交流できる世界は革命だった。

mixiは2008年までに、月間ログインユーザー数1,000万人を超える。国産SNSは、日本トップサービスに躍り出たのだ。

mixi婚も、ここで登場する。2005年には、mixi婚をした2人を取材した記事が残っている。

「自然な出会いだった」――mixiで結婚した2人

私も2008年には、mixi経由で彼氏を作っていた。おそらく四方八方で、mixi経由の出会いが増えていたと思う。しかし、当時はまだ「ネットで出会って結婚」は言いづらい時代だった。

例外はLGBTQで、差別されていたからこそ、ネットに真剣な出会いを求めていたように思う。ネットでしか出会えないという悩みは、真剣交際へ人を惹きつけていた。

そして、その人々はオンラインで出会ったことはおろか、自分たちのセクシュアリティを、公に語ることはなかった。隠さねばバカにされる、排斥される。だからネットでの出会いがヘテロセクシュアル(異性愛者)へ広まることは少なかった。

当時インターネットの出会いが内包していたもの

当時インターネットの出会いが内包していたもの

なぜ、ネットで出会うことがそこまでタブーになっていたのか。ひとつには、出会い系サイトの蔓延がある。日本ではもともと、テレフォンクラブ、伝言ダイヤル、ダイヤルQ2など、電話を介して出会うサービスがあった。

1999年、携帯電話からアクセスできるインターネットサービス「iモード」をNTTドコモが提供すると(※当時は携帯から一般的なサイトにアクセスすることは、容量の都合でかなり難しかった)、携帯電話用の出会い系サイトが急増した。

その系譜で売春や未成年の買売春などを目的とした出会い系サイトも乱立し、ネットの出会い=怪しい、という偏見も生まれてしまった。今で言うなら「パパ活で運命の出会いをして結婚しました」と言うくらいのイメージだろうか。それは犯罪ではないか、グレーゾーンなのか。そういうトーンで、インターネットの出会いは語られていた。

中には「Yahoo!パーソナルズ」「エキサイト出会い」など大手のサービスもあったが、インターネット大手すら、当時は知る一般人が限定されていたため、偏見の目は免れなかった。

スマホの登場とマッチングアプリ革命

当時インターネットの出会いが内包していたもの

そこで爆誕したのが、マッチングアプリだ。

「マッチングアプリ」という単語が生まれた当時、正直に言うと筆者は懐疑的だった。「出会い系サイトを、うまいこと言い換えるつもりなんだろうか」くらいに思っていたのだ。だが、携帯(ガラケー)→スマホへ移行するなかで、この違いは革命的だった。

真剣に出会う目的のアプリをダウンロードし、デートして、結婚する。この出会いが普通になるまで、そう時間はかからなかった。そして後発アプリが大量登場。Pairs, Dine, 東カレデート、Tinder、Omiai、with……。私が知る限り、現時点で主要なアプリは20個以上ある。とてつもないレッドオーシャンだが、どれも盛況だ。

そして、話は冒頭に戻る。2020年、結婚した人のうち13%が婚活サービス経由だった。年々結婚相談所のシェアが減っていることを考えると、この大多数はマッチングアプリによるものと推察できる。

婚活の語源になった『婚活時代』が発売されてから13年。世はまさに、大婚活時代となった。

出会いはネットで、が語れる時代へ

■出会いはネットで、が語れる時代へ

それでもまだ、恋愛相談をうかがっているとこんなご相談をいただく。

「出会いがアプリなんですが、親に隠したほうがいいでしょうか」

「結婚式で、出会いのきっかけをどう説明したらいいかわからないんです」

確かに、親世代の一部にはまだ「ネットの出会い=怖い」で時代が止まっている人もいるかもしれない。また、現実で出会いがなかったんだ、と揶揄する人もいるかもしれない。

けれど、もう結婚適齢期の世代は人口のマイノリティだ。職場にそもそも、同年代がいない方も多いだろう。高齢化社会で、同じ年齢層と結婚したいなら努力して会うしかない。それはもう、仕方のないことだろう。

新型コロナウイルスで、さらに「自然な出会い」が淘汰されていくなかで、マッチングアプリでの出会いはどんどん普通になっていく。そして、出会いのきっかけはアプリで……という説明が「そうなんだ」と流されるくらい、一般的になる日はもう、目の前まで来ている。

もっと、手軽に。もっと、身近に。オンラインで出会うことが、まるでちょっと思い立って、近所の本屋さんに立ち寄るように。そんな時代が早く来てくれるよう、婚活を応援していきたい。

※記載されているサービス名等は、各社の商標または登録商標です。

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執筆

トイアンナ

ライター。外資系企業に勤めてのち、独立。恋愛とキャリアを中心に執筆しており、書籍に『モテたいわけではないのだが』『確実内定』『やっぱり結婚しなきゃ!と思ったら読む本』など。

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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