連載『ポーチでオッケー! BOUSAI!』では、常日頃からできて“持ち歩ける防災”をテーマに、ゲストさんにオリジナル防災ポーチを作っていただきます。
作るにあたって、重要なルールがあります。それは“重さを500gまでに収めること”。
4月のゲストは赤プルさん
TVで見たことのある方も多いと思いますが、芸人でありながら防災士や整理収納アドバイザー1級を取得されている勉強家な方です。
知識と経験のある方がどんなポーチを作ってくれるのか楽しみでした。
なぜ防災士を取得したのか?
2015年9月、関東東北豪雨が地元の茨城県常総市を襲い、鬼怒川が決壊して市域の1/3が浸水しました。鬼怒川が決壊するとは思っていなかったので、地元の人たちは「川が溢れるみてぇだってよ」「まさか〜」と緊迫した空気がなく、川を見に行ってしまったり、仕事を続けてしまったりして、約4300人が逃げ遅れてしまいました。
姉たちも被災をして、ボートで救助をされたんです。他にも親戚、友達も被災して、そんな中でも駆けつけられなかった自分がもどかしくて、地元に何かできることはないかと思って、募金活動もしました。
地元の災害FMにボランティアに行かせてもらったとき、茨城県広報の方に「防災のお笑いネタを作ってほしい」と言われて、勉強しようと思ったんです。そのときに防災士のことを知って、挑戦しようと思い、2017年7月25日に取得しました。
防災士を取るまでは阪神淡路大震災が高校生の頃にあったけど、遠いところの出来事と思っていました。防災についてきちんと意識し始めたのは東日本大震災からですね。
芸人としての発信力を活かして、どうやったらみんなに防災に興味を持ってもらえるのかな? と模索しながらネタをしたり、喋ってみたりしています。
ーー家族が被災したときはとても不安だったと思います。でも、それを教訓として防災士を取られたというのが素晴らしいですよね。
続いて、家での防災も聞いてみました
防災バッグは3つ買いました。何が入っているかも興味があったので。応急処置の物がたくさん入っていて、怪我する前提なのかな?と思いました。
防災士は公助を待っている人たちの間を繋げる役割でリーダーシップを取っていかなくちゃいけない。戦力になりたいと思っています。怪我をしていたら何もできないので、家の中を安全に心がけてはいます。
低い家具を置いて倒れる心配のないようにしていたんですが、最近鏡の固定を見落としていることに気がつきました。あとは実験をしてます。携帯トイレをしてみて、失敗もしました。
3日間家から出ずに、家にあるもので生活できるか試したり、ローリングストックやポリCOOKもやりました。
ーーきちんと防災訓練をされていて感銘を受けました。 訓練していないことはできないと言われているので、赤プルさんの行動力すごいです。
家族とどのように防災意識を共有しているのか
防災士の教本にも書いてあったんですが、家族会議をすることですね。 在宅避難を想定していますが、夫とは避難所のことをちゃんと決めてます。
ーー猫を飼われていますが、ペット防災はいかがですか?
猫は特に避難所が難しくて、在宅避難のイメージがあります。水害の時は友達のところに預けることも考えています。 夫は猫を連れて行きたがるけど、環境に慣れないところに連れて行くのは可哀想だから、臨機応変にいくつかの選択肢を持って、その時に選んでいくつもりです。
ーー避難先の選択肢があるとペットは安心ですよね。 家族会議も本当大切。きちんと共有されていました。
しっかりと準備されている赤プルさんの防災ポーチの中身は?
- スリッパ
色々想定をして、スリッパを入れました。一晩、帰宅困難で非難したときのために準備しました。
- アイブロウ
同じく帰れなかったときのために女性目線でアイブロウも。
- ヘッドライト
避難所でトイレなど暗い時のためにヘッドライトも入れました。
- 反射テープ
夏に訓練を受けた時に自分は前を照らしているから見えるけど、後ろからどう見られているのかを勉強したので反射テープを洋服につけられるように入れています。
- 携帯トイレ
トイレが使えなくなることを想定して、携帯トイレ。黒いビニールもいざという時のために安心材料として。
- バンドエイド、油性マジック
バンドエイドは傷の手当てもですが、テープとしても使える。 そのテープにメモなど書くために油性マジックも。
- 携帯食
携帯食は羊羹を入れました。飴やチョコは流動的でなくなっていることが多いです。姉が被災したときにチョコが一つで乗り切った話も聞きました。
- 透明ビニール
透明ビニールは包帯、水も汲めるので万能です。
- 口腔ケア
口腔ケアはうがいができないことも想定して。
- 防災ポケットマニュアル
防災ポケットマニュアルは判断力が落ちたり、焦らないようにお守り代わりに。
- お金
お金は150円で飲み物、残りの10円で公衆電話と思ってます。
防災ポーチを作ってみて
防災をライフワークにしているところもあって、余計なものを持ち過ぎ ていたなと感じました。軽量化って大事。 何を想定するか、何が必要かがわかりました。
ーーたっぷり入れて500g ぴったり。 赤プルさんはポーチ以外にも日常に防災を落とし込んでいて、いろいろなものを持たれていました。持っていて必要なもの安心するものは人によって違うので、自分に合ったものを合った数だけ厳選して持てるといいですよね。
現在、力を入れていることは?
「マイ・タイムラインを作成しよう」というワークショップをしています。水害が起きたとき、浸水する前に行動パターンを3日くらい前から決め ておくということです。
マイ・タイムラインとは
住民一人ひとりのタイムライン(防災行動計画)であり、台風等の接近 による大雨によって河川の水位が上昇する時に、自分自身がとる標準的な防災行動を時系列的に整理し、自ら考え命を守る避難行動のための一 助とするもの。
芸人としては防災漫才、防災講座で笑ってもらいたいので、模索しながらネタ作りをしています。
他にもリスク対策.com でコラムも書いていて、5年目になります。今年からは会いたい防災士さんに会いに行くをテーマに書いていて、防災を続けるモチベーションなどを聞きに行ってます。
今後の活動は?
あまり固く考えず、やりたいことをやろうと思って、YouTube を頑張ろうかなと。
「楽しい防災だから見てね」ではなくて、自分が心から楽しむことを テーマにやりたいです。
ーー知識がある方の防災ポーチはまた一味違う物が入っていて、勉強になりました。 防災士はいざという時、リーダーシップを取らなくてはいけない…私も改めて気を引き締めていきたいと思います。
赤プルさん プロフィール
茨城県結城郡石下町(現在の常総市)出身。茨城弁で、茨城県のあるあるや自虐ネタを漫談で披露し、テレビやラジオなど多くの番組に出演。2017年に防災士取得。
リスク対策.com:お笑い芸人赤プル、会いたい防災士さんに会いに行く!
YouTube:防災お片付け芸人赤プル
Instagram:puluco_a
X:@akaplu
お知らせ
私、時東ぁみのオンラインサロンが4月28日からスタートします! ぜひ、ご覧ください。
※公開は4月28日正午です。それまではエラーとなるので、4月28日正午以降にアクセスしてください。