化粧品開発者みついだいすけさんの「本当の意味で仕事が好きになったきっかけ」

みついだいすけさん

みついだいすけさん

化粧品のOEM会社に勤務する、コスメを科学する現役の化粧品開発者。コスメ選びが楽しくなる専門知識をTwitterで発信し続けており、フォロワー数は約2.4万人。

Twitter:@gni_dream

本当の意味で仕事が好きになったきっかけ

ーー本日はよろしくお願いします。まず最初にみついさんが現在おこなっているお仕事について教えてください。  

 化粧品開発者のみついだいすけです。化粧品のOEM会社に勤務していて、今年で14年目です。

OEMという言葉に聞き馴染みがないかもしれませんが、自社ブランドを持たずに開発した製品を他社のブランド様にご採用いただき、製品を製造・納品する業態です。

私は主にメイクアップ化粧品や日焼け止めの処方を開発していまして、新しい機能や価値を生み出すために日々研究を重ねています。

 

ーー以前は化粧品が特別好きというわけではなかったそうですが、化粧品開発という仕事を心から好きになったきっかけについて教えてください。

 もの作り自体は好きでしたが、男性である私にとっては化粧品に特別な思い入れがあるというわけではありませんでした。化粧品そのものが好きで開発するというより、成果を出してどんどん出世していきたいと思って仕事をしてきた人間です。

なので誰よりも文献を読み、誰よりも実験をし、試行錯誤を繰り返しながらとにかく開発業務で成果を残すことに集中していました。

 

頑張ってきた甲斐もあって、ヒット商品を生み出すことができるようにもなりました。実力を認めてもらえることへの達成感がある一方で、いつの日からか開発品を生み出すこと自体が目的化してしまい、どこか物足りなさを感じるようになっていました。

そんなある日、市場調査をしようと口コミサイトを読み漁っていたら、私が開発した商品のクチコミがふと目に止まったんです。そこには私が処方開発した製品を使ってくださった方のリアルな喜びの声がたくさん並んでいました。

 

「こんな使用感の商品見たことない」

「この商品以外もう使えない」

「これなら私にも使える」

「こんなにすごい商品開発してくれてありがとう」

 

大げさではなくて本当に書いてあったんです。処方開発者としてどうかと思われるかもしれませんが、実は私、自分が処方開発した商品のクチコミってそこまでちゃんと見たことがなかったんですよね。それだけに受けた衝撃は大きかったです。

 

それまで私にとって開発という仕事は、成果を上げて会社に評価してもらうための手段として利用してきました。ただ、知らず知らずのうちに多くの方に喜んでいただいたり、感動していただいていることを知り、いままでの価値観が大きく変わったんです。

仕事がただの業務ではなく、誰かを喜ばせるための手段と感じられるようになったこの時に化粧品を開発することが本当の意味で好きになりました。

 

化粧品の開発の仕事とは?

化粧品の開発の仕事とは?

ーー化粧品の開発という仕事がどのようなことをしているのか、あまり知らない人が多いと思います。化粧品開発までの流れを教えてください。    

 基本的にはクライアントからご依頼をいただき、製品コンセプトに沿った処方を開発することが多いです。それ以外にも大きく分けて2パターンあります。

1つ目はすでに市場にあるニーズに合わせて製品を開発する、いわゆるマーケットインの考え方。2つ目はニーズが明確にあるかわからないけど、新しい機能や価値を生み出し、作り手が良いと思ったものを開発するプロダクトアウトの考え方です。

世の中にない新しい価値を作ることが私のモットーなので、後者のパターンで開発する方が個人的には好きですね。

 

ーーそうしたマーケティングの知識も必要なんですね。化粧品を開発するうえで、一番大事だと思うことはなんでしょうか。

 尖った処方作りを心がけることが大事だと思っています。平均点を取れるような処方を作ることも、もちろん大事です。でも始めからそこを目指してしまうと、平均点以上のものは作れません。欠点はあるけど、ある機能で突き抜けている処方のほうが結果的に選んでいただける製品になると思っています。

処方がある程度できあがってから、良さを消さない程度に欠点を微調整するくらいが丁度良いんじゃないかなと思います。この製品の良さを一言で言うと何? と聞かれた時に即答できるような処方じゃないと、ユーザー様の琴線に触れるような製品は作れないと思うんですよね。

 

専門家に聞く、化粧品選びのポイント

専門家に聞く、化粧品選びのポイント

ーー化粧品を買うときに、ここだけはチェックしたほうがいい! というポイントがあれば教えてください。  

 自分の肌に合う成分、合わない成分を見極めることが大事だと思っています。化粧品を使って肌が痒くなってしまったことや、赤くなったり荒れてしまう経験をされる方って意外と多いんですよね。

合わない製品は使用をやめれば済んでしまう話ですが、また次に買った製品が合わないなんてこともよくあることだと思います。

実は特定のオイル成分がお肌に合っていなかったり、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤などがお肌に合っていないケースがほとんどだと思います。

 

成分を読めるようになると自分に合わない成分が見つかり、化粧品を選ぶ際の失敗を減らすことができるんです。私がTwitterで情報発信をしているのも、化粧品が肌に合わなくて悩まれている方々に化粧品選びのコツを知っていただきたいから、という一面もあるんですよね。

 

ーー成分が大事なんですね。新型コロナの影響で外出するときにはマスクは欠かせませんし、リモートワークをする人も増えていると思います。マスクの着用や、リモートワークであまり外に出なくなることで起きうる肌のトラブルは何が考えられるでしょうか? また、その解決方法があれば教えてください。  

 マスクをつけることによる肌トラブルは一般的によく言われているので、別の視点でお答えします。

リモートワークによりメイクをしない方が増えていると思います。以前、僕がフォローしているなつなつさんという研究職の方がTwitter上で次のようなアンケート(約1.5万人の方が回答)を行っていました。

(引用元:https://twitter.com/natsunatsu_7722/status/1258716974818848768?s=20

 

「在宅勤務でメイクをしなくなったら肌の調子はどう変化しましたか?」

 

意外にも良くなったという方と、悪くなったという方が同数で(良くなった28%、悪くなった28%、変わらなかった44%)メイクをしていた時のほうが肌の調子が良かったという方が想像以上に多かったんです。

 

一般的な考え方からするとメイクをしない方が肌への負担は少ないと考えるのが普通なので、この結果はすごく衝撃的でした。

なぜこのような結果になったのか僕なりに考えてみたんですが、メイクを落とすために日々使用していたクレンジングが、毛穴に詰まった角栓などの油汚れを落としていて、それが結果的に肌に良い影響を与えていたのではないでしょうか。水性の泡洗顔で角栓はなかなか落ちないですからね。

 

ノーメイクなのに毛穴づまりやお肌の調子が良くないと感じた場合は、定期的にオイルクレンジングやクレンジングバームなどの油性クレンジングで毛穴に詰まった汚れを落とすことを試してみても良いと思います。

みついだいすけさんの成功体験と失敗体験

ーー新卒で現在の会社に入社して14年目ということですが、これまでの成功体験、失敗体験を教えてください。  

 成功体験としては、これまでとにかく尖った処方を開発してきたので、”新しい処方を開発する人”という社内の認知を得ることができたと思います。その結果、新しい企画の案件があると自然と相談が集まるようになりました。

失敗体験は、攻めに攻めた処方を作ってしまい顧客へのプレゼンで笑いが起きる結果に……。失敗もネタに変えて昇華します(笑)。

 

みついだいすけさんの成功体験と失敗体験

SNSをやっていなかったら気づけなかったかも

ーー「SNSで消費者のダイレクトな評価が分かる」とみついさんのnoteに書いてありましたが、参考にした具体的なエピソードがあれば教えてください。

 皮脂くずれ防止の化粧下地によく配合されている酸化亜鉛が肌に合わない方がいることを知りました。

酸化亜鉛は選択的に皮脂を吸着する特殊な性質があります。その性質を利用すると皮脂による化粧崩れや肌のテカリを防止する効果を付与できるため、化粧下地ではよく使われる成分なんです。

 

大半の方は肌トラブルもなく問題にならない成分なのですが、この皮脂吸着効果によって毛穴づまりしやすくなったり、クレンジングで化粧が落としきれなくなると感じる方が一定数いたんですね。メカニズム的には理解できるのですが、実際にこのように感じている方がいたのはTwitterをやっていなかったら気づけなかったかもしれません。

 

 

ーー現在は開発のグループリーダーをされていて、部下もいらっしゃるということですが、「褒めるマネジメント」についてTwitterでつぶやいていました。具体的な褒めるマネジメントのエピソードがあれば教えてください。

 

 失敗を恐れずチャレンジし続ける組織を目指しています。そのためには失敗をむやみにマイナス評価せず、チャレンジしたこと自体を評価してあげる(褒める)ことが重要だと思っています。

失敗を叱る上司っているじゃないですか。特に開発をやっている我々は失敗を叱ったらアウトなんです。なぜなら、失敗を叱ってしまうとチャレンジすること自体を恐れるようになってしまうからです。

 

失敗しないことを優先して開発をしていると、無難なものしか生み出すことができません。安全地帯からイノベーションは生まれることはないと思っているので、僕はむしろ失敗を一定数組み込むようなマネージメントを心がけています。

なので一見無理そうだと思うことも、チャレンジしてもらうようにしています。仮に失敗しても経験になりますし成功すれば大金星ですからね。部下を一生懸命教育して育てようとする方がいますが、そんなことをしなくても安心してチャレンジできる環境さえ作ってあげれば、あとは勝手に失敗から学んで成長していくと思うんですよね。

 

 

みついだいすけさんの「やりたいこと」

ーーメディアのコンセプトが「やりたいことをできるに変える」なのですが、今後やりたいと思っていることを教えてください。 また、やりたいことを実現するためにおこなっている努力があれば教えてください。

 もっとSNSのフォロワーを増やしていきたいですね。現在Twitterではおよそ2.4万人の方にフォローしていただいていますが、世の中のより多くの方々に化粧品の奥深さや面白さを伝えていくためには、まだまだ発信力が足りていないと感じています。

 

さらに多くの方にリーチするために、Instagramでの発信も強化し、Youtubeにもチャレンジしたいと考えています。

フォロワーが増えることで僕自身にも大きなメリットがありまして、皆さまからDMやリプライで日々いただく悩み相談や、化粧品に対する不満・要望は今後の製品開発のヒントになっています。

お互いにwin-winの関係を築きながら、今後ますますSNSでの発信を加速させていきたいと思っています。化粧品に少しでも興味がある方はぜひフォローしてみてください。

 

ーーみついさん、ありがとうございました!

 

 

sakumaga.sakura.ad.jp

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