アパレルブランド「RAHA KENYA(ラハケニア)」 代表の河野リエさんに聞く、ブランド力の高め方

 この記事では、先日、さくらインターネット社内向けに開催された勉強会の模様についてレポートします。

今回のゲストは河野リエさんです! アパレルブランド「RAHA KENYA(ラハケニア)」を立ち上げ、アフリカ布を使ったワンピースやバッグ、ピアスなどさまざまな商品を製作されています。

今回は、河野さんにどのようにブランド力を高めていったのか、成功するコツやヒントを対談形式で語っていただきました。

<聞き手=さくらインターネット 山田 修司>

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RAHA KENYA 代表 河野リエさん

(RAHA KENYA 代表 河野リエさん )

会社経営について

河野リエさん(以下、河野):私の会社は2017年12月に日本法人として設立してるんですね。2018年12月からアパレルブランド「RAHA KENYA」として展開しています。

2018年2月に夫がケニアで起業したことがきっかけで、私もそれについていく形でケニアに移住しました。

起業も夫の影響です。「海外で何かやりたいと思ったときに会社があったほうが便利だから」と言われて、あれよあれよという間に自分名義の会社ができていました。起業願望もなく、経営について学んでもいないのに、気付いたら自分名義の会社が登記されてしまった……という状況から始まっています(笑)。

そんな感じで、小売業として、アフリカ布を使った商品をケニアで作って、お客さまにお届けするということをやってきました。

今は新型コロナと私の出産(今年9月に出産予定)の関係で日本に戻ってきています。去年までは全て1人でやっていたんですけど、今は社員とインターン生含めて8人ぐらいまで増えて、やっと会社経営っぽいことをしています。

前職は丸の内で普通にOLをしていました。何か輝けるものが欲しいと思いながら何をしたいのかわからない、ずっとモヤモヤしてるような20代でしたが、ケニアに移住したこの2、3年で大きく状況が変わってきましたね。

 

さくらインターネット インキュベーション推進部 山田修司

(さくらインターネット インキュベーション推進部 山田修司)

ケニアでの生活

山田修司(以下、山田):河野さんのTwitterで写真を拝見していると、ケニアの街って開発が結構進んでますね。

 

河野:そうなんです! 私が住んでいるのはケニアの首都ナイロビっていうところなんですけど、高いビルやショッピングモールがあったりとか、すごく綺麗ですね。

 

山田:治安はどうですか?

 

河野:ナイロビは、治安良くないです(笑)。最初、夫からは昼間でも歩くなって言われてました。

でも注意していれば安全に暮らせます。昼間でも歩くなというのは、土地勘がないと、スラム街の近くに行ってしまうかもしれないし、逃げられるところがないような場所など知らずに歩いてしまったら格好の餌食になるよね、という話です。 私の場合は、周りが私のことを認知してくれるようになったり、道に迷わないっていう自信が出てくるようになってから1人で歩くようになりました。

例えば、車の中で携帯電話を見ていると車の外から取られるというのはすごくよくあるケースです。車の窓を開けてはいけないというのは基本鉄則。こんな感じで、治安については対策できますよ。警戒力を強めれば、危ない目には遭わないかな。

 

山田:現地でのコミュニケーションは英語ですか?

 

河野:英語ですね。ケニアで使われているのはスワヒリ語と英語です。スワヒリ語は東アフリカで使われていて、基本的にみんな話せます。ナイロビ近郊では、だいたい英語が通じます。

ちなみに、私は英語をちゃんと話せないんですけど、彼らも英語は第二言語なので一生懸命に聞いてくれるスタンスでいてくれます。コミュニケーションとりやすいですよ。

時間と場所にとらわれない働き方

山田:ワークライフバランスについてどのように考えていますか?

 

河野:仕事とプライベートは一緒になっちゃってますね。生活の一部に仕事が入ってしまっているので、ワークライフバランスはそんなに気にしてないですね。

でも、好きなときに休めるので良いですよ。時間と場所にとらわれない働き方がすごくできてる。好きなときに働いて、好きなときに休んで、好きなときに遊びに行くことができています。

社員やインターン生もそういう感じでいてくれればいいなと思っています。一応、社員は基本的に週5で働いてもらってますけど、旅行や休みは仕事がちゃんとできていれば自由だよ、みたいな感じで。仕事が嫌だな、億劫だなというよりは楽しんでもらいたいですし、そのためにプライベートも縛られずにいてほしいなと思います。

 

ケニアよりも日本での製作が大変

ケニアよりも日本での製作が大変

山田:起業して大変だったエピソードはありますか?

 

河野:常に大変さはありますけど、あとから考えると全部良い経験にアップデートされてしまうので(笑)忘れちゃうんですよね。

起業した当初は、アパレルの知識もないし、会社経営なんてよくわからなかったから……モノ作りとか、どこに行けば職人さんがいるのかもわからないという状況から始まってるので、その時に一歩踏み出すまでが大変でした。

結局は青空市場みたいなところに行って、小物などを作って売っている職人さんたちに声をかけました。実際に見本となるような物を持っていって、ひたすら「Can you make this one?」って聞いて、作れるよって言われたら電話番号を交換して。

大変なんですけど、スピーディーにいろんなことが進んでるのがわかった。勇気を出したからこそできたことだし、今思うと楽しかったですし、すごく良い思い出ですね。

製作の流れなんですが、自分で仕入れたアフリカ布と、ネットで検索した参考の写真、もしくは現物を持っていって、ケニアの職人さんに「この布で、こういうもの作って」って言ったら、だいたいすぐに仕上げてくれます。

それで仕上がってきたサンプルって、まだオリジナリティがない模造品のようなものなんですけど、それを元にどんどんオリジナリティを足していって、自分がいいと思うものに仕上げていきます。ケニアの職人さんたちは柔軟に対応してくれてとってもやりやすいです。

 

山田:日本だとサンプル作るのにも何日もかかったりしますよね。

 

河野:そうなんですよ! ケニアで作る場合、最短だったら2週間ぐらいで大量生産を終えるんです。ケニアから日本までの配送がだいたい10日間、そこからサイト掲載の準備して撮影という感じで、だいたい企画からリリースまで1ヶ月あればできちゃう。

今、日本でいろいろ調べながら製作してるんですけど、だいたいひとつの商品を作るのに2、3ヶ月必要ですね。ケニアだったら今から秋服作ろうということになっても、全然間に合うんですけど、日本だったらもう冬になっちゃう。今、結構苦戦してます。これが大変なことですね。

Twitterでは等身大の自分を見せる

山田:Twitterの運用で気をつけてるところ、意識してるところなどありますか?

 

河野:フォロワーを意識的に増やそうとしていたことがありました。多分2年前ぐらい、ケニアに移住したころですね。

そのときからずっと続けているのが、アフリカやケニアのポジティブなところを発信すること。私の個人アカウントで、今1万1000人ぐらいフォロワーさんがいらっしゃるんですけど、多分伸びた理由はそれかなと思っています。

アフリカの情報って、ネガティブで人を不安にさせるようなものが溢れているんですよね。もちろん事実でもあるんですけど、実際に移住してみたらすごくカラフルなものがあったり、陽気な人たちがいて、こんなに自分の心をハッピーにしてくれる国があるんだって思って。私はそういうポジティブなことしか流さないって決めました。

自分のポジション取りができていたというのは正直ありますね。「ケニアに移住した嫁」ってなかなかいないので、ニッチな路線でいけたのは大きいかなとは思います。

あとは、正直になること。いくらでも嘘つけちゃうじゃないですか。でも、自分自身が疲れちゃうので良くないですよね。私の場合は、共感して見てくださってる方が多いので、本当に、等身大の自分を見せることを意識しています。

 

山田:商品の制作過程も、すごく積極的に発信されていますね。

 

河野:私のブランドの強みは、ストーリーがあるものを作れること。一つひとつ思いを込めたもの、一つひとつの製作にちゃんとストーリーがあるものをお届けできていることだと思います。

Twitterなどで作ってる過程を見てくださった人には、うちの商品をとても意味のあるものとして受け止めてもらえてるので、ストーリーをうまく伝えることができていて、お客さまにお買い求めいただけてるのかなって思います。

語りたいストーリーがたくさんあるので、どんどんお伝えしていきたい。そういう付加価値をつけてご提供することをブランドとして意識しています。

 

山田:最近はケニアの職人さんの紹介もされていますね。

 

河野:見てくださいましたか! 「NAIROBI CITY」Tシャツ(「NAIROBI CITY」の文字の部分にアフリカ布が使われている)というものを作って、売上の10%をケニアの職人さんたちに還元しようというプロジェクトをやっていて、そのために職人さんの紹介をさせていただいています。

今、ケニアでの製作は中止になっちゃって、ケニアの職人さんたちに仕事を継続して提供することができなくなっている状況なんですね。

もちろん、仕方がないことなんですけど、私たちが今までモノ作りができたのって、ケニアの職人さんたちのおかげ。友達みたいな感覚で何時間も素材探しに付き合ってくれたりとか、何回もお直ししてくれたりとか、とても誠実に向き合ってくれて……すごくお世話になったなと思いますね。

実際に職人さんたちの仕事がどんどん無くなって、オフィス縮小しなきゃいけないっていう人がどんどん増えているので、何かの助けになればという思いがあります。

 

山田:そういう行動をすぐに起こせるリエさんはすごいと思います。

 

河野:コロナの影響を受けたときに、今年は休もうかなって正直考えたんです。でも、「RAHA KENYA」のコンセプトは、「一歩踏み出すきっかけを作る」とか「もっと自信がもてますように。もっと、ひとりひとりの個性が広がりますように」というものなので、それを掲げてるブランドが、コロナを理由に止まっちゃうのってイケてない、って思っちゃうんですよ。今こそいろんなことに挑戦しようっていう気持ちになっていますね。

 

会社代表としての在り方

会社代表の在り方

山田:今後、ブランドをどう展開していきたいとか、野望などありますか?

 

河野:最近できたんですよ、野望みたいなものが(笑)。会社なのに今思えばおかしいんだけど、特に数値目標も何も掲げていなくて、もはや個人事業主みたいな考え方でした。

でも、自分自身が持っているブランドのコンセプトや思いはいろんな人に伝わってほしいし、いろんな人を幸せにしたいなと……なので、最近掲げてるのは「5年後までに年商3億円」ですね。

5年後3億とした場合、客単価を考えるとだいたい1万5000人を幸せにすることになる。それができるんじゃないかなと感じています。来年は年商1億円を目指すという感じですね。

仲間もどんどん増やしていきたい。最初は手の届く範囲でやってたんですけど、仲間が増えると、ひとりではできなくて諦めてたことができるようになるので。できることが増えるとやはり楽しいです。

年商3億という規模になったら、今度は何を実現できるだろうって考えたら、めちゃくちゃワクワクします。最近になって、「RAHA KENYA」を長期的にどう成長させていくかを思い描くことって大事だなって気づきました。

 

山田:仲間集めもそうですけど、自分のやりたいことを常に発信したり宣言してないと、実現はなかなか難しいですよね。

 

河野:そうですね。やりたいこと、あと思い描く未来を仲間に共有することはとても大事。 起業する人って、スーパーハイスペックな人だと思ってたんですよ。でも、自分が代表になってみて、自分のできないことを自覚して、できないことを社員さんに頼める人っていうのも、代表の在り方だなって思うようになってきましたね。

私自身、ブランドに対しての誇りや思いっていうのは人一倍あるんだけど、叶えたい世界に対しては、自分自身の能力は限られているので、皆さん助けてください、とお願いしています。そういうのも、代表の姿なんだなっていうのは起業して気づいたことです。

 

山田:リエさん、本日は貴重なお話をいただき、どうもありがとうございました。

 

河野:楽しかったです! ありがとうございました!

 

楽しかったです!

 

 

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