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「地獄の沙汰」を金で乗り越えるため、今日も働くのだ

「地獄の沙汰」を金で乗り越えるため、今日も働くのだ

地獄に落ちたら金がいる!

「地獄の沙汰も金次第」ということわざ、聞いたことがありますでしょうか。人生のどん底でこそ、金が身を助けるという意味です。

普通に生きているだけでも、私たちには不幸がランダムに振ってきます。病気、親の介護、大事な人との別れ。そこで人生を跳ね飛ばすのが「金」というわけです。それを実感した経験が、昔ありました。

私は小さな会社経営を人生で何回かやっています。そこで、スタッフの1人に会社の資金を使いこまれてしまったのです。(スタッフの名誉のために言っておきますが、今わたしが経営している会社の話ではありません)

横領って思ったよりカジュアルに起きる

みなさんは「横領」「背任」という言葉に、どんなイメージを持ちますか? わたしがそれまでに想像していた横領は、ヘッヘッヘと悪い顔をした社員が、夜中に忍び込んで札束を金庫から盗むシーンでした。いや、まともな会社なら金庫にそんな現金ないって。

実際の横領や背任は、もっと私たちの身近なところにあります。

・出張でホテルを探していたら、あるホテルが「泊まったら百貨店のギフトカード1,000円をキャッシュバック」とうたっていた。せっかくなのでギフトカードを受け取るホテルにして、会社にはホテル代を満額経費で請求する出張を10回ほど繰り返した。

・アパレルショップの在庫で、長年眠っている在庫があった。どうせ廃棄する予定のものなので、従業員同士で「そろそろこれ、捨てるか何かしたほうがいいよね」と話し合い、みんなで持ち帰った。しかし、うっかり上司の許可を取るのを忘れていた。

・転職してから、妻とのケンカが増えた。耐えられなくなったので別で小さな部屋を借りて、2年ほどそこから通勤していた。プライベートの事情なので会社には報告していなかったが、実は会社に報告している通勤手当よりも少ない額で通勤できていた。

実は、当てはまる人も多く、ヒヤリとした方もいるのではないでしょうか。このように、少額の横領や背任は身近に起きています。とはいえ、後から報告して差額を補填できるなら、会社もいちいち警察に突き出すこともないでしょう。

問題になるのは「差額を出せなかった」ときです。

わたしの会社では、経費と称してプライベートにお金を使う横領をしていたスタッフがいました。別にちょっとした額なら大事になりませんが、その額・月に50万円。さすがに経理担当が異常に気づいて、私へ教えてくれたというわけです。

横領がバレた社員は予想外の行動に…

横領がバレた社員は予想外の行動に…

報告を受けたときは「かなりの額だな」と驚きつつも、そこまであせっていませんでした。 「最悪、弁護士を入れればどうとでもなるだろう」と思っていたのです。ところが、横領したスタッフは予想だにしない行動に出ます。

「横領した金は返さない。これは正当な経費だ。そもそも横領なんて罪をなすりつけるのはパワハラだ。傷ついたから金をよこせ」

と、主張してきたのです。

今でもその文面を思い出すとクラクラします。なお、そのスタッフが横領ではないと主張していたのは「会社のお金で買った自前の服やアクセサリー」と「会社のお金で行った家族とのご飯代」なのですが……。正当な経費とはいったい……?

そのスタッフは弁護士もつけていなかったので、背景に法的根拠があるとも思えません。一体全体、この人はなにを思ってこんな主張をしてくるのか?

横領、失恋、そんな自分を救った「地獄の沙汰の金」

そんなタイミングで、私のプライベートにヒビが入ります。失恋したのです。いや、横領に比べれば些事ですが、こういうときの泣きっ面に蜂は、痛いぜ。しかもその彼へお金をある程度渡して、家を出ていってもらう必要がありました。

「最悪、横領された分は自己資金で補填するか……後で利益から補填してさ……」

と、考えていた私の目論見が、ここで崩れます。

順調な資金繰りだったのに、何でこんなことで危機に?

当時の記憶は、思い出すだけで辛いものです。集中したくてもボーっとして、涙がボロボロ出てきました。いま振り返れば「そんな簡単に横領できるシステムを作った自分の甘さ」が100%問題なのですが……。

仕事では利益を奪われ、プライベートでも彼と資金を失い。

「なんで生きてるんだろう……?」

と、呟いてから、はっとしました。

今の、自分、やばい。

そこからのリカバリは早かった。まずは事情をつまびらかに相談し、融資をゲット。そういうことに慣れているのか、融資元もお金をさらりと貸してくださりました。本業では利益あげてますしね。額が少額なうちに気づけたのもよかったです。

当座の金が手に入り、私のメンタルは劇的復活。横領したスタッフとは弁護士を通じて冷静に話し合い、何とかカタをつけました。さらに自己資金も見直し、生命保険で年利3%の手堅い投資をスタート。こうして33歳、なんとかまだ生きています。

あなたがこれから「社員に横領される」ケースは少ないかもしれませんが、脱サラしてカフェを経営したら、アルバイトがレジのお金をちょろまかすかもしれません。離婚したくなったら、相手が資産の半分を求めてくるかも。DVや不貞行為をでっち上げられて、損害賠償請求されるかも。

人生万事、何が起こるかわかりません。ですがそういうときに自分を救うのは「ある程度の自己資金」と「安定的にお金を供給してくれる本業」の存在です。

脱サラして成功を掴もうという方、とりあえず辞めてから転職活動しようという方。寿退社で専業主婦・主夫になる方。もっと言えば「無職でも何とかなる」という人、ちょっと待った。その時点で、いざというときをしのぐ人生の耐性が下がっていませんか?

思わぬ事態に耐えるためには、「金」と「金を産む仕事」が欲しいものです。どんなご事情でも「退職」の前に、このことをよく考えてみてください。

執筆

トイアンナ

ライター。外資系企業に勤めてのち、独立。恋愛とキャリアを中心に執筆しており、書籍に『モテたいわけではないのだが』『確実内定』『やっぱり結婚しなきゃ!と思ったら読む本』など。

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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