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ゆるい就活を就職活動中の学生に伝えたい。元新卒採用担当者からのアドバイス

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「会社って、どうやって選べばいいんですか?」

 

就活生の女子学生が、初々しい表情でこう質問した。

 

3年前、私はとある企業で新卒採用の仕事をしていた。会社説明会を開催したときには、リクルートスーツを着た集団に対し、社会人としてそれっぽいことを語らなくてはならない。

 

「会社選びって難しいですよね。私もいろいろ迷いましたが、社会人になってみてわかったことがあります」

 

就活生は思いもしないだろう。散々笑顔でいい会社だと説明していたこの人間が、会社選びをミスったと日々悩んでいるなんて。

私みたいになるなよ。そう思いながら、就活生にアドバイスをしていたことを今回は書いていきたいと思う。

 

就活生向けのアドバイス

 

就活のときに優先することを決める

私の就職活動は、労働条件を第一に進めていった。興味のあるマスコミ系の仕事に惹かれる自分もいたが、過酷な労働環境についていける自信がなかったので、早々と諦めた。ゆるく長く勤められる職場で働きつつ、プライベートな時間を楽しく生きよう。それがきっと現実的な人生設計なのだ。

 

だから、事務職の内定をもらったときは、飛び上がるほど嬉しかった。老舗の中小メーカーで、安月給ではあるが念願の「ほぼ残業なし」「土日祝日休み」のホワイト企業。入社してからも期待を裏切ることなく、仕事はゆるくて定時に帰れた。これぞ理想的な社会人生活! 宴会の挨拶では「定年の60歳まで働きます!」と調子づくほど満足していた。

 

ずっとこの会社で働いていきたい。そのためには、良好な人間関係を築くのも仕事の一つ。社員の方々と仲良くなりたい! と意気込み、一番身近な女性の先輩社員5人から距離を縮めようとした。

こちらからオープンマインドでいかなくては! と、私は学生時代にヒッチハイクや野宿をしていたという鉄板ネタを話した。だが、「えー怖そう〜」「私だったら絶対ムリ」と引かれてしまい、失敗。宴会では、社会人はお酒を飲む人はかわいがられるだろうと思って、頑張ってお酒を飲んだ。けれど、ただの酒飲みだと思われてしまう。

 

こんな感じで、自分の行いがスベる、スベる。「あのー、イベントスペースのロフトってわかります?」「ロフト? 文房具とか売ってる?」と、先輩全員が黄色い看板のロフトしか知らなかったとき、自分の異端さをやっと飲み込めた。もうこちらから話題を出すのはよそう。

 

先輩方の話に耳を傾けることに注力

 

先輩のNG基準を学習する

その分、先輩方の話に耳を傾けることに注力した。だが、先輩方の話題は、ファッション、メイク、コンビニスイーツ、ドラマ、スマホゲームなど、普段自分が興味のないものばかりで、ついていくのに必死。笑いのツボも合わなくて、油断するとぽかんとしてしまう。中学生のとき、あいのりでキャピキャピ盛り上がっていた女子を横目に、深夜ラジオにハマっていた自分を思い出した。

 

趣味嗜好の違いは、こっちがマイノリティのせいだし、仕方ない。それより気になったのが、同族以外認めない排他的な雰囲気だ。アニメっぽい声の新入社員を小馬鹿にしたり、他人の私服につべこべいったり、不確かな噂話や偏見が強い悪口で盛り上がる。男性社員と楽しく話していたら、茶々を入れてくるのも理解できなかった。そうやって、先輩方のNG基準を学習していった。

 

ここでは、自分の感情を抑えて、周りと同調しなくてはならない。とても窮屈だけど、これが社会人の世界というものなのだろう。やむをえず、猫を被ることにした。

 

猫を被ることにした

 

猫を被らなくて済む「ゆるい就活」のススメ 

月日が経つにつれ、辞めていく社員の存在が積み重なっていった。しかも、営業成績がよかった人、同僚から信頼が厚い人など、活躍していた社員こそ辞めていく。考え方が合わない人は離脱していき、一方で、仕事の出来に関わらず上司に気に入られている人は居座り続ける。

そういう実態が見えてきたとき、立派な社会人と思っていた会社組織が、ただ気の合う仲間が群れているだけに思えてきた。

 

自分は社会人らしくなれないと自信を失っていたけど、もしかして仲良しグループ選びを間違えただけではないか。だとしたら、猫を被らなくてもいいところがどこかにあるのかもしれない。

猫を被り続けて窒息しそうになっていた身からすると、命拾いするような気づきだった。

それからというもの、新卒採用の仕事をするときには、就活生にこう伝えていた。

 

「会社を選ぶ際、あの感覚を思い出してみてください。教室で友達を作るとき、大学でサークルを選んだとき。なんとなく『この人と気が合いそうだな〜』『ここは居心地がよさそうだな〜』という感覚ってありますよね。会社選びも、案外その感覚って大事なんですよ」

 

そして入社して4年が過ぎた頃、会社を辞めた。その少し前にライターの仕事に縁があり、こっちのグループのほうが気が合いそうな気がして、感覚的に決めた。

こういうとおこがましいが、この業界は自分と似たような変わり者が多い気がする。奇しくも、諦めていたマスコミ系の仕事をしていることに、人って自分に合ったところに流れ着くのかなと思う。仲良しグループでの仕事は、とても居心地がいい。

 

ツマミ具依さん前回の記事⇒半沢直樹の勧善懲悪よりも、ブラタモリの悠悠自適 ーアンガーマネジメント体験談ー

 

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執筆

ツマミ具依

企画や体験レポートを好むフリーライター。過去の企画は「渋谷ハロウィンで不要な仮装を回収して最強の仮装を着る」など。週一で歌舞伎町にてバーテンダー的なことをしている。

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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