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テレビの中の人に聞く、企画を考える方法と「明石家さんま」さんとのエピソード

田中良さんにインタビュー

田中 良(たなか りょう)さん

毎日放送勤続25年のプロデューサー。『百年企画開発局』所属。「プレバト!!」「林先生が驚く初耳学!」「所さんお届けモノです!」「情熱大陸」など数多くの番組を制作。

各業界の著名人にインタビューをしていく、この企画。今回は毎日放送のプロデューサーで多くの番組を制作している田中良さんにお話をうかがいました。「テレビの中の人」のお話を聞ける貴重な機会に、企画を考える方法や明石家さんまさんとのエピソードなどをオンライン取材で色々お聞きしました。

 

テレビはターゲットを絞ると視聴率が下がる

ーー本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、田中さんにテレビ番組を作る際の企画を考える方法についてうかがいたいです。

よろしくお願いします。番組制作の流れでいうとテレビ局に編成部署があり、その部署が特番をやるときに企画書を募集します。

例えば番組を土曜日のお昼15時から1時間トライアルでやるとする。そこに対して僕らがディレクターや放送作家を集めます。「企画書を募集しているから、一緒に考えませんか?」となり、企画会議をするんです。

会議で土曜日の昼15時からだと、どんな番組がいいんだろうと考えます。旅番組にしようか、バラエティーでちょっと試したいことがある、今だとSNSが流行ってるからYouTuberと旅番組をかけ合わせて何か面白いことはできないかなど、色々と意見を出して決めていきますね。

 

ーー企画を考えるうえで、最初にターゲットは決めて考えるのでしょうか?

テレビって、ターゲットは決めないんですよ。雑誌などの媒体だとターゲットを決めると思うんですけどね。テレビは子どもからお年寄りまで楽しめるコンテンツを目指しているので、想定視聴者とかペルソナを設定しないんです。

そこが企画を考えるうえで大きく違うところです。”若い女性向け”のようにターゲットを限定するとマーケットが狭く、視聴率に結びつかないことが多いです。

テレビの視聴層は日本の人口分布に近いので、世帯視聴率を取るために、やはり年配の視聴者を意識することはあります。

 

ーーそうなるとキャスティングについても同じような考え方で、高齢者受けしそうな方を探すことが多いのですか?

高齢者受けというより、全世帯に受け入れられそうな方です。坂上忍さんが一気に広がったのもそういうことですし、梅沢富美男さんもそうですし、マツコ・デラックスさんなんて最たるものです。

3人が共通しているのは、視聴者の信頼を得ていることですね。今のテレビは、出演者に忖度が働いているのではないかと見られている。視聴者の気持ちを代弁し、本当のことを言おうという姿勢が大事なんです。

仕事の出来る人の3大条件

ーー田中さんが書いた「仕事が出来る人の3大条件とは?」というnoteを読んだのですが、一番大事なのは可愛げだっていう話がありました。タレントさんもそうなんですか?

そうですね。ビジネスマンだけじゃなくてテレビでも可愛げがある人が生き残ってるような気がします。なんていうか、愛らしさみたいな。

【田中さんの考える可愛げのある人】

▼特に何が出来る訳ではないけど人を巻き込むのが上手い人

▼そこにいなくても『アイツさぁ〜』と話題に挙がる人

▼集まった時、みんなの輪の中心にいつもいる人

田中さんのnoteより引用~

究極の可愛げはやっぱりジミー大西さんだなと。さんまさんの付き人もやっていましたけれど、なんか可愛いじゃないですか。

ジミー大西さんが絵の勉強でスペインに住んでた時に、言葉が通じないのに向こうの女の人に可愛がられたエピソードもあります。”なんかほっとけない”っていうのはすごいですね。

明石家さんまさんのエピソード

ーーさんまさんの名前が出ましたが、田中さんがFacebookに書いている「明石家さんまさんにたった一度だけ怒られた話」がとても面白かったので、あらためてお話を聞かせてください。

明石家さんまさんとは5年間、仕事をご一緒しました。さんまさんは滅多に怒らない方なんですが、5年間でたった一度だけ怒られたことがあるんです。

あれは出演者の松尾伴内さんとくりーむしちゅーさんの地元である長崎と熊本に凱旋するという内容のロケをした時の話です。オープニングは長崎のグラバー邸で撮影をしたのですが、その時から雨がポツポツと降り始めてました。

事前に晴れと雨の場合の両方のパターンを準備していたので、ロケプランの変更をしたんです。雨と霧がすごかったので、ゴーカートのロケを飛ばしました。

松尾伴内さんの実家で撮影をした後に、長崎県の大村市役所でロケをしました。ここでは松尾伴内さんが地元である大村市の名誉市民になるというセレモニーを撮影する予定で、200人の地元の皆さんを呼んで大掛かりな認定式を準備していました。

もともとはオープンスペースに200人の地元の皆さんを集めて、市長から名誉市民に認定されるだけの予定だったんですけど、雨で飛んでしまったゴーカートのロケの穴埋めをするために急遽質問コーナーを設けたんです。

防災用のスピーカーをお借りして質問コーナーを収録したのですが、後ろのほうまで出演者の声が届かなかったんです。テレビ的にはマイクが付いているので音声は拾えていて大丈夫でしたが、観客の後ろの方は聞き取りづらかったようで、会場はざわざわしていました。

そんな中でも、さんまさんは声を張って会場を盛り上げてくれました。なんとかロケは無事に終了。私は無理をさせてしまったことを申し訳なく思い、ロケバスに戻ってすぐにさんまさんに謝りました。

すると、さんまさんは険しい顔をして「やるんやったら用意しとけ!」と怒ったのです。

その後の言葉にグサっときて。

「お客さん満足してなかったやろ!」

さんまさんは自分が無理をさせられたことに怒ったわけではなくて、来てくれた方たちを楽しませられなかった準備不足を叱ったんです。

テレビの都合だけでロケを進めていた自分を心の底から恥じました。 目の前のお客さんを楽しませることが出来ずに、いい番組など作れるわけなどない。 さんまさんにテレビを作る上で一番大切なものを教えていただきました。

そして、さんまさんがすごいのは、すぐ後に横にいた中川家の礼二さんに向かって「でも、俺まだデパートの屋上で営業できるな(笑)」って、笑いに変えてくれたことです。

これでロケバスの緊張が一気に解けました。さすがに私は全然笑えなかったですが……。

ーーす、すごいエピソードですね。

 

メリットだけではなく、デメリットも伝える

ーー話はガラっと変わりますが、テレビは多くの取材をしています。取材交渉をするうえで大事なことを教えてください。

メリットだけじゃなくてデメリットも伝えることじゃないですかね。デメリットをしっかりと伝えることで信頼性が増すと思います。テレビだと1時間取材しても番組で使うのは数カットだけということもあるんです。特に報道の場合は大きなニュースが入ったら飛ぶこともあります。

なので事前に「大きな事件が起きるとカットする可能性もあります」とか、「番組の都合上、短い時間しか放送できないかもしれません」というデメリットを伝えたほうがいいです。

いいことだけじゃなくて、こんなデメリットもありますけどご了承いただけますか、と伝えることで取材相手と信頼関係を構築することが大事だと思います。

 

ーーテレビ番組でも必要だと思うのですが、ブログやメディアで人に興味を持ってもらうための強いタイトルの付け方を教えてほしいです。

去年のセミナーでお話したんですが、相反する2つをくっつけるやり方はいいと思います。 例えば、「還暦ホスト」とか。還暦でホストって何? ってなるじゃないですか。還暦のイメージとホストのイメージが合わないんでそこにギャップが生まれて、それって何? って知りたくなるんですよ。あとは、「マイルドヤンキー」もそうですね。

伝える相手にいかに興味を持ってもらうかを常に考えています。一番簡単なのは相反する言葉をくっつける方法です。

 

ーーテレビで取り上げられるプレスリリースの条件があれば教えてほしいです。

画になることが大事です。ストーリー性があると画にしやすいと思います。

また、社会課題を解決することと結びつくことができれば取り上げやすいです。例えば、会社が社会課題の解決にどう繋ってるかを明確にして、どんな方法で解決しようとしているのかをストーリーにして発信すれば取り上げられやすくなると思います。

よく聞かれる質問に答える社長のインタビュー動画を作っておくといいですね。文字や写真よりも動画が良いと思います。

プレスリリースにはいつ取材できるか、スケジュールも載ってないこと多いんですよ。僕らはそれを見て1週間後のネタを埋めていく、1ヶ月後の番組を作っていきます。なので、こんな講演します、こういうことを実現します、という取材ポイントを予定と一緒にまとめたら良いと思います。

 

ーーインタビューにご協力いただいた田中良さんからお知らせ。

個人的には色々なところで伝えることをしたいと思っています。 テレビのことやPRのことが知りたかったら、いつでもお話しますのでお声がけください。

田中さんの各種SNSをご紹介 Facebook(https://www.facebook.com/ryo.tanaka.1272) note(https://note.com/tanaryo

Twitter(https://twitter.com/tanaryou

 

 

執筆

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

編集

武田 伸子

2014年に中途でさくらインターネットに入社。「さくらのユーザ通信」(メルマガ)やさくマガの編集を担当している。1児の母。おいしいごはんとお酒が好き。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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