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東京工業大学でデザイン思考を学ぶプロジェクトの最終発表会と、それまでの思い出

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初めまして、昨年さくらインターネットに入社した UXデザイングループの森川です。 タイトルの通り、東京工業大学で実施されているEDPというプロジェクトの最終発表会に参加してきました!

東京工業大学 EDPとは

東京工業大学でおこなわれているPBL(Project Based Learning)型の授業です。PBLは実世界で直面する問題の解決を通して学習をすることです。

EDPはエンジニアリングデザインプロジェクトの略で「多様なチーム」が「デザイン思考」を活用して「コト・モノづくり」という狙いのもとに実施されています。

東工大生と美大生、そして社会人がチームを組み、実践的なプロダクト制作を通してデザイン思考を学びます。

基本のプロセス
上図がこの授業で回す基本のプロセスです。デザイン思考を基にしており、5つの項目を繰り返していいプロダクトを導きだします。

インタビューして得た視点からアイデアを出し、作ってみて、ユーザテストをおこないます。それらを繰り返してユーザが抱える本当の課題を明らかにし、プロダクトの方向性を固めていきます。

詳しいことはこちらの東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト公式サイトでどうぞ。

かっこいいPVもあります。 

東京工業大学 EDP最終発表会

最終発表会は、上記のデザインプロセスに則り、半年間じっくりと制作したプロダクトを発表するという総決算の日です。

できあがったプロダクトの紹介に加え、それに到るまでに考えたことや、そのプロダクトに行き着く前に作ったものなども発表されます。

うまく進まない時の苦悩を垣間見ることもでき、その苦悩からデザイン思考を用いる時の視点や注意点を学ぶことができます。

ここでの学びがEDPの醍醐味であり、学生が社会に出ても活かせるものです。

当日の発表

今回は4企業が参加し、各企業のテーマに2チームが取り組むという形式でした。

発表では、企業がテーマ説明をした後に学生の2チームが制作したプロダクトと経緯を説明します。

さくらインターネットから提示したテーマは「フルタイムで働く親が子供のためにできる食育をデザインせよ」です。

当日は私がテーマ説明をしました。

ちゃっかりと採用情報のご案内もしつつ

ちゃっかりと採用情報のご案内もしつつ。

その次に学生の発表です。

チームipiの発表

チームipiの発表。「キッチンたんけんたい」というプロダクトを発表してくれました。 プロダクト名のリンクから公式のブログをご覧いただけます。

チームいわしの発表

チームいわしの発表。「saratte」というプロダクトを発表してくれました。プロダクト名のリンクから公式のブログをご覧いただけます。

東京工業大学 EDP最終発表会の感想

プロダクトの感想

・キッチンたんけんたい / チームipi

親が料理をしている間に子供を待たせている時間が申し訳ない、子供に料理している姿を見せたい、食事への興味を強めたいなどの着眼点から生まれたプロダクトです。

この着眼点がなかなか面白く、子供の相手をしてやりたいけどそんな余裕がないしいっそ手伝わせようにも危ないし、という葛藤が見えて考えがいがあるインサイトを拾えたと思います。

そこからこのプロダクトに至ったのはごく自然な流れだったかと感じます。もう一捻り、子供が夢中になるようなインタラクションなどの要素が足せられれば更に良くなったかもしれませんね。

これは余談ですが、プロダクトのコンセプトムービーで学生が演じているのに母親っぽさが強いところがとても好きです。

・saratte / チームいわし

子供の好き嫌いをなくしたいけど、食べろって叱ったりしてストレスをかけるのは辛くて、できれば楽しみながら克服できないかな、という着眼点から生まれたプロダクトです。

親にとっては永遠のテーマ、ありふれた着眼点に感じるかもしれないですが、インタビューの結果、実際には諦めちゃう親がいることと、諦めちゃう理由を探ることが出来たのは良い掘り方ができたのではないかと思います。

プロダクトは、これをはじめとして、シリーズ化していろんな子供の楽しみ方ができるのではないかと夢が広がるものになりました。仕組みも、まだ改良の余地はありつつも、現時点ですでに試行錯誤して作ったことがわかって面白かったです。

最終発表会全体の感想

それぞれのチームが作ったプロダクトを思い思いのやり方で紹介しており、非常に見応えがありました。一つのプロセスを基にしているとはいえ、多様な視点でそれぞれの気づきにより打開していく様子からは多くのことが学び取れます。

特に弊社担当のチームの発表は、苦悩の過程を見ていただけに感慨深かったです。

東京工業大学 EDPへの参加動機

会社からテーマを課すだけでなく、最終発表会に至るまでの過程も、メンターとして弊社のUXデザイングループから私含む3人が約半年の間参加しておりました。

新卒として入社し、まだ仕事にも慣れず勉強の日々を送っていたある日に、先輩から「デザイン思考の勉強したいですか?」と聞かれました。そこで「したいです」と答えたら即参加決定しました。

デザイン思考については、実は美大で授業をとっており触れたことはあったのですが、結局その授業では「なんか良く分からんけどいいやつ」みたいな印象しか得られませんでした。

そこでEDPのデザインプロセスの基盤になっているデザイン思考がどんないいやつなのか理解したかったと言う動機もあります。

それに加えて、青春ワクワク人間ドラマをそばで見られるという大きなメリットもあります。真面目に言い直すと、チームの動きを俯瞰できるということです。学生のチームは好きな人で組むのではなく、テーマの希望によって集まります。

つまり、関係性の構築から始まり、その後学生主体で制作を進めていく中で、チームの合意の取り方やスケジュールの組み方に四苦八苦してチームの結束が深まっていきます。

そうした青春ワクワク人間ドラマを通して、チームで活動するときに個人が与える影響や注意すべき点を、チームの外から俯瞰して見られるというのがメンターとして参加する大きなメリットです。

などなど、このような紹介を受けて、入社後の同期との研修大変だったなとか思い出し、これは絶対仕事で役立つやつだ!と、EDPに参加する意志が固まりました。

東京工業大学 EDP授業

初回授業では各企業からのテーマ発表→質疑応答→チーム分けして早速グループワークという流れです。

チームに分かれて自己紹介をしている場面。全員が初対面のメンバーです。

チームに分かれて自己紹介をしている場面。全員が初対面のメンバーです。

今年度は1企業2チームという構成になったのでメンターも分かれて担当することにしました。

私が担当したチームは、基本的に朗らかでちゃんと合意を取りながら進めようとするチームだったので、メンターからチームビルディングについて言及する必要はなかったのでやりやすいグループでした。それでもかなり個性的でした。

「パンを食べろってお告げされる夢を見たので最近よくパン食べてます」という学生とか、初対面の子の頭を急に撫でたり、私にも急に腕を組みに来る女子など、初日から個性が爆発してました。

学生がつまずきやすいところ

さて、授業が進むにつれて気づくことがあります。

うまくプロセスが回らない、と。

上記にある通り、EDPではデザイン思考をもとにしたプロセスで制作していきます。インタビューを実施し課題を捉え、アイデアを出しプロトタイプを作る。

そして作ったものを持ってインタビューに……というところまでやってEDPの授業日を迎え、そのプロセスを発表します。それをEDP期間中に繰り返すのがこの授業の主軸です。

しかし、なかなかモノを作るところまでいきません。どんなプロダクトを作るか?というアイデアで詰まり、そのまま授業に臨みアイデアまでの状態を発表して、やっぱり違う気がするからインタビューからやり直しというサイクルに陥りやすいです。

前提から見直しているところ

この写真は前提から見直しているところです。

失敗を恐れて進めなくなる

EDPではイメージさえつけば雑でも良いからとりあえずプロトタイプを作りましょうと強く推奨しています。

それでもなかなかうまく作るところまで行くことができず、停滞します。まず最初にプロトタイプ制作に着手できない理由は、失敗への恐れと、プロトタイプのレベル感に誤解があるのではないかと考えられます。

この授業で学ぶプロセスは、インタビューからプロトタイプ制作までを何度も繰り返して最終的に良いプロダクトに行き着くものなので、「パパッと作って終わり」というものではありません。

何度も試作して最後につなげるというだけで、馴染みのないやり方だという学生も多いのではないでしょうか。学校の課題を提出するならサイクルを回す時間もないし、正直面倒です。経費なども考えると、正解のプロダクトを一つ作って完成にしておきたいと思うのも自然です。

さらに、それを発表せねばなりません。見せるからには出来上がったものでありたい、間違ったものを発表するのは恥ずかしいと思うのも無理はないですね。

ループに陥る

実際のところプロトタイプがないと具体的な話をすることも難しいです。とにかくものを作ってイメージできるようにしないことには、

「なんか違う」

「わからん」

「課題が掴めてないんじゃね?」

「インタビューからやり直しだ!」

と、インタビューとアイデアの間をひたすら回ることになります。どこかのチームがふとプロトタイプを作って、「あんな感じでいいんだ!」と気づいて作り始めるか、それでも自分のチームのアイデアに手一杯なチームは終盤に追いつめられて作り始めます。そのため最終発表会で「もっとサイクル回しときゃ良かった」と言う声も出ます。

(ここでは簡単に言っちゃってますが、私がこの記事を書いている間も誰にも進捗を見せずにぐるぐる悩んでました。社内でのデザイン思考のワークショップでも訳知り顔で参加したのに全然うまくいかなかったので、言うのは簡単ですが実行するのは難しいです!!!ワークショップの後はちょっと学生に優しくなりました。)

東京工業大学 EDPのメンターがやること

EDPの授業で、学生たちは悩みながら制作していきデザイン思考を学びます。では私たち社会人はメンターとしてなにをするのでしょうか。

おおよそ「メンター とは」で検索する通りです。

学生たちが円滑に制作を進められるように、悩みを聞いたり、障害を取り除いてやったり、時にはインタビューの手配もしたりなど、サポートするのがメンターの役割です。主役は学生であるため、あまり出しゃばらず口を出しすぎず、サポートに留めましょう。

学生が悩んでいたらヒントを与えたり、一緒に考えたり、相談に乗ったり、サポートでもやることは結構ありますが、なかなか塩梅が難しいです。学生の自主性や考えを封じ込めずに控えめに、かといって控えめ過ぎても伝わりにくかったり、そもそも自分も正解がわからなかったり。メンターも試行錯誤して学んでいます。

見守ったり悩んだりしてました

この写真の真ん中に写ってるのは私です。このように、学生の輪の横で見守ったり悩んだりしてました。(歳が近いのもあってか後ろから見ると完全に学生に紛れてて分からなくなると言われたりもしました。)

EDPではslackやscrapboxを活用し進捗やプロセスを先生やメンターにも見えるようにして、講評やアドバイスがしやすくなるような工夫をしています。それでもLINEのほうに慣れてるとかなんだかんだでクローズドなSNSを使っちゃう場面があったりします。

そうなると、全く進捗が見えなくなり、メンターと先生は「あの子たち大丈夫かしら……」と子供をお使いに向かわせた母親のように心配します。

私が担当したチームでも一度、slackが全然動かなくなったことがありました。口うるさく出しゃばったりするのは好ましくないので、slackを使うとこんなにいいことがあるぞ!というアピールをして促すも、結局次の授業の日まで進捗は出ず。

どんな事情かと思えば、「本当に何にもしてなかった」という供述を取れました。蓋を開ければごく単純な話でよかったよかった。

まあダメなんですけどね。

東京工業大学 EDPを終えて

これを書いていて思い返していると、「自分めっちゃ学んだな」と改めて実感できました。上記の通り大学時代もデザイン思考に触れたことがありましたが、学びの濃さではこちらの方が上でした。また、学生として実践する立場ではなくて、メンターとして見守る立場だからこその学びもあり、本当に貴重で濃い学びでした。

また、東工大生と美大生のグループワークを通して、エンジニアとデザイナーの考え方が全く違うことも目の当たりにできました。

美大からは、デザイン系の学生だけではなくファインアート系の学生も参加しており、そうなると特に顕著になります。普段作っているものの性質が違うと、考え方も違うというのがわかりやすく体験できました。

さくらインターネットは今後もEDPに協賛していく予定です。今のところデザイナーが授業に参加する予定ですが、さらにエンジニア、また別の業種の方々がメンターとして参加してもらえれば、視点が広がり、新たな学びが得られるのではないか、と思っています。

この記事を読んで興味を持っていただいた企業さんはぜひ東京工業大学EDPの公式Webサイトから声をかけてみてください。教授のみなさんも歓迎してくださることと思います。また、この授業が本にもなっているので、ぜひご一読ください。

最後に、学生の皆さん、大変よく頑張りました!!!

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執筆

森川 久留実

2019年4月にさくらインターネット株式会社に新卒入社。UXデザイングループ所属。

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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