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スタートアップ都市、福岡で「やりたいことをできるに変えた」

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≫ 「やりたいことをできるに変える」職場で働きませんか?

櫻井 裕(さくらい ゆたか)

2010年さくらインターネット入社。主にPRを中心に従事。2016年より福岡オフィス立ち上げのため家族で福岡市に移住。好きなJリーガーは小林祐三選手(サガン鳥栖)。

福岡はグローバル創業特区

ーー早速ですが、よろしくお願いします。櫻井さんはいつから福岡に来て、どんな仕事をしているんですか?

いつだろうな、福岡に来たのは4年くらい前ですかね。さくらインターネットのキャリアは10年目なんですけど、半分は福岡にいるという状況でして。気づけば長くいたもんだというか(笑)。

さくらインターネットのサービスは、お客さまが会社を立ち上げるタイミングや、アプリ開発などを始めるときに選択してもらうと使っていただきやすい。逆に言うと、途中で変えることがなかなか難しいサービスを扱っている。ということは、マーケティング戦略上、なにかを始める人たちにリーチするっていうのが極めて重要なポイントです。

社是でも「やりたいことをできるに変える」と言ってますけども、やりたいことがあるときに想起してもらえる存在でなければいけない、というのがまずあります。福岡に来る前は東京で、そのようなマーケティング活動をいろいろやっていました。

ーーご自身で福岡行きを希望されたんですか?

はい。福岡は当時、国家戦略特区の「グローバル創業特区」に指名され、「福岡はスタートアップ都市である」という宣言がされました。

「スタートアップといえば福岡」というお達しが出たわけです。そして私たちがスタートアップの方々を支援していく、一緒に成長していく立場だとするならば、福岡は当然見ていかなければいけない。でも4年前の当時は九州に営業基盤がなく、大阪メンバーで対応していました。より地場の方々に溶け込んで仕事をするために、まずは福岡に行こうという話をしました。

ですので、当初はマーケティング目的で来ているんです。当時のマーケティングメンバー2名で、1年間は4畳半くらいのコワーキングスペースを借りてやってました。その後「やっぱり福岡でやっていく面白さはあるだろう」と考え、現福岡オフィスを構えました。

ーーFGN(Fukuoka Growth Next=スタートアップを支援する福岡市の官民共働型の施設)と同時期ですか?

これは、まさにタイミングが合致したというか。

福岡オフィスを立ち上げたのが2017年2月で、その翌月くらいにFGNがスタートしてるんです。時を同じくしているので混同されがちなんですが、実はFGNは、さくらインターネットが福岡で業容を拡大してく中での一番最初のチャンスでした。

私たち自身もスタートアップの方々と縁を深めたいと思って福岡に来ていたので、渡りに船とはまさにこのこと。当初は福岡オフィスのイベントスペースを通じてスタートアップの方々を応援していく・縁を深めていくという狙いだったものが、福岡市さんから「誰か一緒にやりませんか」という話が並行して出てきました。

ーーFGNが決まったから、福岡オフィスを立ち上げたわけではないんですね。

そうです。あくまでも、FGNは私たちがやりたいことの1つ。そうでないと、FGNがなくなったら福岡から引き上げることになりますから。さくらインターネットは福岡でやりたいことがあった、そのうちの1つがFGNだったんです。

それぞれが役割を持って動いている

ーー今、福岡オフィスのスタッフ数は?

今は、さくらインターネットの従業員は5名。研究所やネットワークチームのメンバーがいたり、FGNを主に担当しているメンバーがいたり、それぞれが役割を持って動いているのが福岡オフィスの特徴ですね。同じ場所にいる全員が違うことをやっているというのは、とても珍しい事務所だと思います。

ーー櫻井さんは今、具体的にどんな業務をされているんですか?

福岡にいるという地の利を活かして、九州・沖縄を中心としたマーケティング活動を主に行っています。

ーー福岡だけじゃないんですね。

東京にいると、九州の各県を回るのってけっこうしんどいですけど、私たちは福岡にいますから日帰りでもちゃっと行ける。縁を深めやすくなっています。

鹿児島にもインキュベーション施設「mark MEIZAN」がありますが、鹿児島市さんから「FGNのように成果を出していきたいので、ぜひ公募に参加してほしい」とお声がけいただいたのがきっかけで、当社のメンバーが入らせてもらっています。

ーーそれも福岡オフィスがあるからこそですもんね。

そうですね。開所当初の狙いは「マーケティング活動をするための場所」という位置づけでした。やっていくうちに、そこで働きたい方々が出てきたり、九州にいるならちょっと話してみようかなという方々がいらっしゃったり。

その場にいるメリット、いるからこそ生まれるものっていうのが今は大半を占めていると思います。これはあの当時は予期できなかったことです。すごく良いことだと思います。

ーーいるだけで価値があるってことですね。

当然、「そこに事務所を作るというのは、いろんな人とのつながりができるものなんだ」とわかっている方々のほうが多いと思うんですが、当社の場合はデータセンターや設備のない場所に事務所を作るっていうのは今までにないケース。

かつ、私自身も前職含め、仕事で転勤したこともなければ、拠点作りをしたこともなかったので、一般的には誰でも想定できたかもしれないけど私にはできなかった。今はそれに気づけて、福岡にいることが価値だと胸を張れますね。

ゼロからのスタート

ーー櫻井さんは元々、福岡の出身ではないんですよね?

はい。私は東京生まれ、東京育ち。妻もそう。

転勤当時を振り返れば、福岡には友だちもいなければ、旅行すらしたこともなかったです。プライベートも仕事もゼロから関係構築っていうのは初めての経験でしたね。

そういえば当時は3人目の子供を妻が身ごもっていたんです。

ーーえーっ!奥様の反対はありませんでしたか?

どちらかというと家族のほうが「行きたい」と言ったので、私も心置きなく福岡行きを選択できました。

ーーご家族は、どうして福岡に行きたがったんですかね?

「楽しそうだから」っていうノリですね(笑)。「友だちと離れるのはイヤだ」とか「環境が変わるのがイヤだ」とか言われるかなと思ったのに。

それは家族に助けられましたね。私自身、新しいことをやるのが好きなタイプなんですけど、家族がそれを上回ったという。東京にちゃんと生活基盤があったのに、若干クレイジーな家族で(笑)。

なので、東京に帰るつもりはいまだにあまりないんです。福岡あるあるらしいんですけど、お父さんが転勤になると単身赴任することが多いんですって。

家族が「私たちは福岡に残るから、お父さん行ってらっしゃい!」って。もし私が転勤になったら、うちも間違いなくそうなるでしょうね(笑)。

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福岡では”よそ者”からの関係構築

ーー福岡に移住してきて、オフィスを立ち上げて、うれしかったことってありますか?

東京にいたら間違いなく経験できなかったろうな、ということを経験させてもらえたことですね。

東京にいるときは、当社は業界では「名の通った会社」という雰囲気の中で仕事をしていたけど、福岡に来てからは「はじめまして、さくらインターネットです。」からスタート。

決してあぐらをかいてたつもりはないけど、このコミュニケーションのとり方は、あまり経験したことがなかった。それは、私にとっては非常に刺激的で楽しい経験でした。

また、福岡市さんには、いわば”よそ者”である我々との関係構築をとても迅速にしていただき、かつ、その後もきちんと仕事として世の中に出せました。行政と一緒に、という仕事は東京時代はほとんどありませんでした。

あとは単純に、行ったことのない場所がいっぱいあり、訪れるのが楽しいです。

例えば熊本の宇城市さんと一緒に仕事することがあるのですが、東京にいたら、言葉は悪いですけど「なんでわざわざそんなところに行って仕事を?」っていう判断をしてたはず。でも、九州の方々と深く縁をつなぎたいと思ったら東京にいたときとは違う判断が出てくる。そこでまたひとつ仕事ができたら満足感につながる。

ーー福岡には競合も多いと思います。

そうですね。でも一緒にフットサルして遊んでもらったりとか(笑)。東京よりも人が少ないためか、コミュニケーションが緊密なのは私には向いていたかなという気がします。

IoTと地方における一次産業は親和性が高い

ーーさくらインターネットのサービスでいいと思うもの、強みってなんですか?

例えば、IoTの通信モジュールおよびSIMサービスを持っていますが、市場としては今はおそらく、いわゆる「幻滅期」にある。これからこれを乗り越えて普及していくにあたって、これまでさくらインターネットがやってきた3.4年は、間違いなくアドバンテージになります。

特に、IoTと、特に地方における一次産業は非常に親和性が高くて、「農業とIoT」とか「山の鳥獣被害とIoT」とか、パッと思いつくだけでも想像しやすい。ああいうものが今後本格化していくんだとすれば、私たちが福岡に腰を据えている意味がより出てくるし、それを推進する必要がある。東京にいたら気づかなかったものに、私たちなら気づける。それなら当然リードしなければなりません。

ーー福岡にきて「メルチャリ」(neuet株式会社が運営するシェアサイクル)があることに驚いたし、ほとんどのお店がキャッシュレスに対応している気がします。

福岡は、非常に「都会」だと思います。

「ご自宅からアップルストアまで何分かかりますか?」って質問すると、福岡の人は2~30分で着く人も多いです。

でも東京の人だと、1時間かかる人はざらにいると思います。当時の僕がそうでした。そういった意味でも、福岡は都会ですよね。おそらく福岡には比較的、新しいものを受け入れる空気があるんじゃないかなと思います。

ーー確かに、街を歩いてみても新しい感じがしました。渋谷・新宿にあるようなお店がたくさんありますし。

そうですね。例えばお店を出すとしたとき、東京・大阪出店の次は福岡となりやすいと思います。だから、流行をキャッチアップするのは必ずしも東京でなくてもいい。私はそんなに流行りを追えないタイプではあるんですけど、そんな私でも充分楽しいと思えます。

話を戻すと、さくらインターネットのゆるぎない強みはやっぱり、データセンターを持っていて、それを運用してきた実績があること。最近のHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)のようなものが出てきている中でも、アドバンテージが間違いなくある。

さくらインターネットは、「新しいことを始めること」と「今まで持っていた強みを拡張してより強いものにしていくということ」のバランスがとれているんじゃないかなと思います。

例えば、グループ会社のプラナスソリューションズが関わらせていただいている産業技術総合研究所さんの件。巨大なデータセンターを国内事業者にホスティングしようと思ったら、さくらインターネットしかないんじゃないかと思うんですよね。そういうところで、続けてきた強み・信頼性というのは大きいです。

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福岡で4つの仕事を掛け持ち

ーー福岡に来て、働き方やワーク・ライフ・バランスはどうですか?意識していることはありますか?

今、パラレルキャリアで4つ仕事をしているんです。 まずメインはさくらインターネット。もうひとつは久留米高専での「特命准教授」。これは授業をしているのではなく、とあるプロジェクトを担当しています。

それからここ数年、熊本県の崇城大学 起業部のビジネスプランコンテストで審査員を。あと最近は、福岡のスタートアップCAVINさんのPRのお手伝いをやっています。収入のあるものもあれば、ないものもあります。プライベートでは、子供のサッカーチームのコーチをやっています。でも東京にいた頃は、さくらインターネットだけでした。

なんでこんなに急にパラレル感が出てしまったかというと(笑)、それはやっぱり福岡にいることがすごく大きいです。

久留米高専のお話も突然出てきたんですが、さくらインターネットとしてなにかご協力できることを、となったときに、福岡にいる私がいちばん動きやすかった。崇城大学さんも、もともと仲良くさせてもらってたのもありますが、熊本なら福岡から行きやすい。CAVINさんはFGNの入居企業で、まさにスタートアップ。

これからいろんな部分を強化していくためのアドバイザーがたくさんいる中で、PRに関して私が助言させていただいている。少なくとも私が東京にいたら、どの仕事もやることはなかったでしょうね。まぁ、サッカーのコーチはやってたかもしれませんが(笑)。

縁を強く感じ取れるようになった

ーー福岡にいることで、つながりが深い感じがしますね。

そうですね。最近「縁をつなぐ」という言葉が好きで多用しているんですが、まさにそれかなと思います。東京にいるとやっぱり人も多いし、あまり人とのつながりなんて意識することはなかった。

たまに東京の仕事をするとき、「新卒あてます」「サポートつけます」と一緒に準備を手伝ってくれます。特に同じ部門であれば、業務の手伝いは当たり前の感覚なんでしょうけど、今の私にはすべて新鮮で。なぜなら福岡では1人でやることが多いから。

それも社員同士とはいえ「縁」だと思うんですよね。福岡に来て、そういうものを強く感じとれるようになった。それはもしかしたら福岡がどうこうというよりは、東京でしか暮らしたことのなかった私だから、いろんなことに気づけるようになったのかなという気もします。

結果的に「働き方改革」になっている可能性はあるけど、意識してそうしているつもりはなくて、ひとつも負担に感じることなく、楽しくやらせてもらってます。合理的な理由があるとすれば、通勤時間が極めて短くなったことですかね。単純に1日2時間くらいの自由時間が増えたので。

ーー福岡オフィスまでの通勤時間は?

歩いて20分、バスだと5分くらいですね。東京にいた頃はドアtoドアで1.5時間位くらいでした。電車通勤時に本読んだりしてましたけど、たいだい途中で寝たりして(笑)。

ーー通勤時間って無駄ですもんね。

もちろん、通勤時間が好きな方もいらっしゃるでしょうけどね。家だと家族がいてゆっくり動画も見られないっていう方もいらっしゃるだろうから人それぞれですが、私の場合は電車にいる時間って今思えばムダだったなって思います。

今までは自分自身に「結婚したら夢の一戸建て。家族があれば、片道1時間半の通勤時間はやむなし。」っていう固定観念があった気がします。でも実はそうでもないことに気づけたのは、私にとっては意識改革でしたね。

ーーさくマガのコンセプトが、さくらインターネットの企業理念と同じ「やりたいことをできるに変える」なんですが、今後やりたいこと、それをできるようにするためにしていることってありますか?

福岡に関しては、まさに「やりたいことをできるに変えた」と思うんですよね。

よく、「やりたいこと」と「やるべきこと」のバランスっていう話がありますが、いま私は「やるべきこと」を考えなければいけないサイクルにいるのではと認識しています。

紆余曲折はあったけど福岡オフィスを軌道に乗せられたので、やりたいことを実現するために「やるべきこと」にこだわって、やっていきたいなと思っています。

最近よく「私ができることってなんだろう」と考えるんですね。ほかの場所で仕事をしていると、当たり前ですが、私の強みを価値として見てもらう場合がほとんど。「会社にとって・社会にとって価値があるのは、私のこの能力だ。」と示す必要があるんじゃないかと最近は考えます。

さくらインターネットだけで仕事をしていたときは、「得意なことはあるけど、苦手なこともできるようになって成長する」という感覚だった。それはそれで正しいとは思います。でも、私が最大限に価値を生み出せることに今はこだわりたい。

そしてそれは今、私が会社に対して「やるべきこと」をすることで、その先に理想郷がある。福岡がすごく好きで、福岡オフィスで働くことも、ここで働いているみんなとの関係性もすごく好きなので、これを維持して大きくしていくことが「やりたいこと」なんです。でもそれをやるためには、私にはこれからの3年で「やるべきこと」があると思っています。

私は大勢の中にいると、「自分の一番の価値ってなんだっけ?」っていうのを忘れがちになる。でも福岡に来て、周りに人がいない状態で、「自分のなんの要素なら人と戦えるのか」「どうすれば人と違う価値が出せるのか」をすごく意識するようになったかなと思います。

比較的普通のサラリーマンである私ですらそうでしたから、働き方改革という名のもとに違う場所でチャレンジしてみるっていうのは、何か気づきを得られるかもしれませんね。

≫ あなたの「やりたいこと」をさくらインターネットで一緒に実現してみませんか?

執筆

高田和加子

CMや広告を中心に、映画やドラマなど主に映像作品に出演するモデル・俳優、たまに歌い手。「やりたいこと」は声のお仕事とヴィラン。ライティング、はじめました。
事務所プロフィール :プロフィール
Instagram : https://www.instagram.com/takatawakako/

編集

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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