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安彦考真さん「本業、自分」 超ポジティブな年俸0円Jリーガー

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本業、自分

安彦 考真(あびこ たかまさ)さん

1978年生まれ、神奈川県出身。クラウドファンディングを利用して水戸ホーリーホックに入団。40歳で初めてJリーガーとなったオールドルーキー。現在、Y.S.C.C.横浜所属。Twitter(@abiko_juku

各業界の著名人にインタビューをしていく、この企画。今回は40歳でJリーガーとなった安彦さんにお話をうかがいました。ポジティブでメンタルの強い安彦さんに、セカンドキャリアやご自身の行動力について語っていただきました!

安彦 考真(あびこ たかまさ)さん。1978年生まれ、神奈川県出身。

安彦考真さんにキャリアについて聞いた

ーー早速ですが、サッカー選手のセカンドキャリアについて、安彦さんの考えをお聞かせください。

スポーツ界、サッカーだけじゃなくてアスリートのセカンドキャリアって結構問題になっている部分があって。アマチュアスポーツだと企業に就職して、企業に所属した状態で活動して、選手生命が終わるとそのまま所属している企業で働くことができます。

ただ、野球やサッカーなどのプロスポーツで考えたときに、企業のバックアップがない、クラブとの契約の中で自分のキャリアをどうやって作るかとなると「余命」が出てきたなと思っていて。選手としての余命と自分の人生としての余命。

このラインを分けて考えている人が多いので、選手生命が終わってしまうと鬱になってしまう人もいる。何万人もの前で脚光をあびたり、おだてて貰える機会があった選手たちが、急に何もなくなって、目の前の生活のために仕事をしないといけなくなったときに、いままでとは違うので疲弊するんですよね。

セカンドキャリアの問題点

僕がセカンドキャリアにおいて問題だと思っているのは、みんなが生活を追いかけすぎていること。大事なのは自分の人生を生きるということで、その枝葉に職業というものがあると思っている。

だから、「Jリーガー」を生きちゃだめなんですよね。自分の本業は自分自身なんです。そもそも、自分が何者なのか、使命感はなんなのか、なぜ自分はサッカーをしているのかということを考えないと。自分の人生に目を向けないと、根本的な解決にならないんじゃないかな。

SNSの利用について語っていただきました。

みんな考えるのが怖い

ーープロサッカー選手がセカンドキャリアを考えるのは引退を考えるときくらいなのでしょうか?

みんな、考えるのが怖いんですよ。脳って不安と心配があると人の成長をさまたげるので、できるだけ排除しようとするんです。だから目をつむって、練習に没頭する。ただ、没頭できている人はいいんだけど、没頭せざるを得なくなったり、メンバーに選ばれずにプレーができなくなったときに将来の不安がいままで以上に押し寄せてくるわけですよ。

そうしたときに自暴自棄になったり、鬱になったりしてしまうことがある。選手は常に次のキャリアの恐怖を抱えていて向き合わないといけないんだけど、それを職業や生活と考えるから怖いというのが問題なんです。本業は自分自身だと考えていれば、職業は何でもいいと思えるんですけどね。

僕は学生時代の部活動がよくないと思っています。スポーツ強豪校って部活さえしていれば頭悪くても許されちゃうじゃないですか。授業中寝ていても「あいつら部活頑張ってるからしょうがないな」ってなっちゃう。どういうルールだよ! って思うんだけど。

SNSを利用しない手はない

ーーお話をうかがっていると、戦略をしっかり考えられている印象です。安彦さんはどのようにして戦略的な考えを身につけたのかお聞かせください。

そう言っていただけるのは非常にありがたいんですけど、自分では戦略があるとか何かアイデアがあるとかそんなことは思っていなくて。やりたいことをやるためにどうしたらいいかを真剣に考えたらこうなったということですね。

いまをいかに色濃くするかというのを考えたときに、SNSを活用しない手はないなと思ったんです。ちょっと言い方が悪いんですけど、プロを目指す前のSNSでは、有名人とご飯を食べた写真を載せて「こいつは一体何者なんだ」と思わせることから始めたんです。

友達からは「有名人との写真ばっか載せるけど、俺たちとの写真は載せないじゃん」って言われて、「ゴメン、ゴメン」って返してたんですけど、自分の中ではセルフブランディングだと思ってやっていました。そのときは他人のふんどしで相撲を取るって決めていたんで。

でも、そのやり方で限界が見えてきて、次に自分の世界観はなんなんだって考えたときに、高校生時代に新聞配達でお金を貯めて、ブラジルに留学した経験を思い出した。自分としてはやりたいことをやっただけなんですが、「行動する」って他人からしてみるとすごいことらしくて。それをSNSで伝えていこうと思ったんです。

一回やりきってみて、壁にぶち当たったときに別の道を探すのか、壁の向こう側に行くためにどうしようと考えるのか、自分を俯瞰して見たっていうのは僕なりの戦略だったのかもしれないです。

安彦さんは行動力がすごい

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安彦考真さん「思い立ったら即行動」

ーー行動力が自分の長所だと気がついたのはいつなんでしょうか?

僕の尊敬している人に学生時代にブラジル留学した話をしたんですが、「安彦君のいいところは思い立ったら即行動なんだよ。それはブラジルに行ったことが証明してる」って言われたんですね。

そのときに「えっ?」って思って、はじめて気がつきました。思い立ったら即行動するって自分にとって当たり前のことだったので、行動したことに成功も失敗もないと思っているんですね。講演とかでも話しているんですけど、「行動」っていう字を自分では「考動」にしたいと思っているんです。考えて動くというのをセットにしたいんです。

ネガティブをポジティブに変換

ーー最近、怪我をされましたが、話をしていると明るくポジティブに見えます。モチベーションやメンタルをどのようにコントロールしていますか?

ヒザを怪我しちゃって、いまリハビリしているんですけど「なんで俺は復帰しようとしてるのかな?」って考えたんですよ。39歳で仕事を辞めてJリーガーになろうとして、実際にJリーガーになって。

「なんで来年もJリーガーでいたいのか?なんのために?」って、考えていたら天命とか使命っていうのが生きるうえでのモチベーションなのかなって思ったんです。そのときに、マイナスのエネルギーをプラスのエネルギーに変える、ネガティブをポジティブに変換できる人でいたいと。

その理由がなんなのかを考えたときに「小学生の頃にいじめられていたこと」と、過去に友人が1人自殺していて、「自殺というものに納得がいっていない、容認できない」ということがあったんです。弱者の味方でいたい。僕も弱者だから。

「弱者に手を差し伸べられる社会」に変換できるような大人になりたいという気持ちがあるんだと思う。いろいろな壁にぶち当たっても、「もっと見てくれ。ぶち当たったときこそ見てくれ」と。壁にぶち当たってるときに誰かが手を差し伸べてくれたら、「その手を差し伸べた人の姿を見てくれ」、「こうあるべきじゃない?」と。

そうすれば社会がもっと寛容になると思っているんです。

クラウドファンディングを利用してJリーガーに

ーー安彦さんはクラウドファンディングを利用してJリーガーになりました。すごく面白い取り組みだと思うのですが、なぜクラウドファンディングに目をつけたのか教えてください。

元々、Jリーガーを目指す前に不登校の子どもが集まる学校で講師をやっていたんです。そこで先生として、生徒に教えるためにいろいろなことを調べていたんですね。そのときにクラウドファンディングという存在を知り、面白い仕組みがあるなと思ったんです。

それで、クラウドファンディングの話を生徒にしたんですけど、あるときに生徒が「あびさん、俺クラウドファンディングやったよ。1500円のうち300円しか集まらなかったけど。」って言ってきたんですね。

そのときに愕然として。僕は普段から「10回の素振りより1回のバッターボックス」って言っているんですけど、その生徒はすぐにバッターボックスに立ったんですよ。でも、「俺、ずっと素振りしてるじゃん」って思って、これはやるしかないなと。

本業は自分自身だと言う安彦さん

安彦考真さん「”本業、自分”を意識していきたい」

ーーサッカー以外のブランディングという面で安彦さんが注目しているサッカー選手ってどなたですか?

Jリーガーだと浦和レッズの槙野君はすごいなと思いますね。彼はバッシングを受けた時期もあったけど、彼なりのセルフブランディングをしてきて、いまは髪型をマネする人もたくさんいるじゃないですか。

キャラとしても面白いから、サッカーを知らない人でも槙野君のことは知っているということも多いんじゃないですかね。多分、槙野君は街を歩いていてサッカーファン以外の人にも気づかれるJリーガーのひとりじゃないですかね。SNSも上手に活用していますし。

ーーメディアのコンセプトが「やりたいことをできるに変える」なのですが、今後やりたいことについて語っていただきたいです。

まずは、僕自身がサッカー選手という軸足をいかに外せるか。もっと「本業、自分」を意識していきたい。バッシングされるかもしれないですが、僕にとってサッカーって趣味なんですよ。趣味を最高峰の環境でやれてる、めちゃめちゃ幸せバカ野郎なんですよ(笑)。

「てめえ趣味とか言ってんじゃねえ」って怒られそうなんですけど、悪いことなの?って思ってる。サッカー好きなんだから良いじゃんって。これはもっと大きな声で言っていきたいですね。職業だとは思っていない分、思いっきりできるし。

あとは、自殺で命を落とすような人を減らしたい。先ほど友人が自殺してしまった話をしましたが、周りの人もすごく悲しいじゃないですか。辛い思いをする人がたくさんいる。だから、自殺といった選択をしない社会にしていきたいんです。

他の選択肢もあるよと。その社会を目指さないといけないと思っています。「あんた、自殺する人の気持ち分からないでしょ」と言われたらどうしようもないんだけど。

サッカーは表現の場

要するに仕組み、環境を作るということ。だから、強いものに立ち向かい続けたいんです。サッカーに関してもレベル相応のところでやりたくないのは、できちゃうから。例えば、地域リーグでプレーすればできると思うんですよ。点も取れちゃうと思うし。

やっぱ、安彦さんさすがだねって言われて、気持ち良いかもしれない。でも、それはなんの挑戦でもないんですよね。手に届きそうで届かないところで、俺なら届く! と信じられるかどうか。手に届くか届かないか、という姿をもっと映像化したい。

やりきった結果、できたに変わればいいなと。その姿を見せるためのサッカーだと思ってます。趣味だという感覚は残しながらも表現の場ではありますね。

さくらインターネットのロゴ前で撮影しました

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執筆

尾崎 翔一

さくらインターネットでWebマーケティングを担当。

執筆

川崎 博則

1986年生まれ。2019年4月に中途でさくらインターネット株式会社に入社。さくマガ立ち上げメンバー。さくマガ編集長を務める。WEBマーケティングの仕事に10年以上たずさわっている。

※『さくマガ』に掲載の記事内容・情報は執筆時点のものです。

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