知的財産管理技能検定に合格したので、知的財産権とは何かを説明します

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知的財産管理技能検定の記事を書くことになったきっかけ

さくマガをご覧の皆さま、こんにちは。さくらインターネットの武田と申します。「さくらのユーザー通信」(弊社サービスをご利用のお客さまにお送りしているメルマガ)を書いたり、さくマガの記事編集に関わっています。

先日、さくマガ編集長にうっかり「『知的財産管理技能検定』の3級に合格したんですよ」と話したところ、「じゃあ、それネタに記事書いてくださいよ」と言われてしまいました。 まぁ、せっかくのチャンスですし、「やりたいこと」を「できる」に変えるWebマガジンですし…ということで、こうして書いている次第です。

 

さて、「知的財産管理技能検定」についてですが、まだまだ知らない方が多いのではないかと思います。私は全く知りませんでした。たまたま、私の身内が「2級 知的財産管理技能士」を取得したことがきっかけで、この検定の存在を知りました。

自分なりにいろいろ調べてみたところ、私のように文章を書いたり、Webコンテンツに関わるような仕事とも無関係ではないんじゃないか?という気がして、受験を決めたわけです。

 

実際、知的財産管理技能検定の公式ページによると、多くの有名企業が、この検定を推奨していたり、人事考課や昇格の要件としていたりするようです。これは今後ますます重要度が増してきそうな予感がしませんか?

この記事では「知的財産管理技能検定」ってなに?というところから、「知的財産」とはどんなものなのか、例も含めてなるべくわかりやすく説明したいと思います。

知的財産管理技能検定とは?

「知的財産管理技能検定」は、「知的財産」に関するマネジメントスキルを証明できる国家資格です。合格すると「知的財産管理技能士」を名乗ることができます(そして立派な合格証書が送られてきます! これはちょっとうれしい)。難易度順に3級、2級、1級まであり、1級はさらに専門分野ごとに分かれています。

 

私が受験したのは3級です。業務などで知的財産を扱ったことがない初心者には、2級と1級の受験資格がありません。3級に合格すると、2級の受験資格を得ることができる、ということになっています。

試験の概要や受験資格などの詳細な情報は公式ページを見ていただければと思います。 http://www.kentei-info-ip-edu.org/

知的財産管理技能検定を受ける上で知っておくべき「知的財産」とは?

「知的財産」とは、著作物・商標・意匠・発明など、形のない、知的活動で生まれたアイデアや創作物のことです。日本では、このような知的財産を法律できちんと守り、管理する仕組みがあります。

参考:経済産業省特許庁「知的財産について」 https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/seidogaiyo/chizai02.html

知的財産管理技能検定に出てくる言葉

次に、「著作物」「商標」「意匠」「発明」とはどんなものか、ざっくり説明します。

著作物

著作物は、「著作権法」で保護されています。小説や映画、Web上の記事、SNSなどにアップされる画像なども著作物です。弊社に関連するものとしては、カスタマーサポートの公式キャラクター「まりな」は著作物にあたります。

 

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さくらインターネット公式キャラクター「まりな」

 

ちなみに、もちろん今読んでいただいているこの記事も著作物です。「著作権」は、特許庁への出願などの手続きをしなくても、権利として主張することができます。この記事の著作者は執筆した私、武田ということになります。

 

商標

商標は、「商標法」で保護されています。商品名や、商品のロゴなど、特定の商品やサービスが他のものと区別されるための目印となるものが商標です。特許庁に出願して商標として認めてもらう必要があります(いわゆる「商標登録」)。ちなみに、「さくらのレンタルサーバ」などの弊社サービスも登録済みです。

意匠

意匠は、「意匠法」で保護されます。意匠とは、物品や物品の部分の形状などに関するデザインのことを指します。例えば、PCやマウスの形状、デザインなど、「工業デザイン」と呼ばれるものは意匠にあたります。鑑賞が目的となる彫刻などの美術品は意匠ではありません。商標と同じく、特許庁へ意匠登録をする必要があります。

発明

発明は、「特許法」で保護されます。特許庁で、特許として登録を認められることで特許権を行使することができます。「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度」な発明が特許技術といわれます。なにやら難しい言葉が並んでいますが、例えば、PCやスマホに内蔵されているリチウムイオン電池などの技術の発明は特許技術にあたります。昨年、吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞したことで有名ですね。

ちなみに、発明の中には「実用新案」というものもあります。家事が便利になる道具の発明など、ちょっとした発明(考案)などは「実用新案」として登録されているものが多いです。 

だいたい「知的財産」がどんなものか、イメージできたでしょうか?

もしご興味があれば、以下のサイトで検索してみるとなかなか面白いですよ。

 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

(キーワードを入れると特許や商標などを簡易検索できます。試しにリチウムイオン電池で検索するととんでもない数の特許がヒットしました。それだけ多くの研究がされているということですね)    

 

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知的財産管理技能検定 まとめ

知的財産管理技能検定では、このような知的財産に関する法律、および出願のルールなどといった知識が問われます。

勉強して何かの役に立つの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、勉強してみるとなかなか奥が深いですし、実際に自分の身の回りにあるものや起きているできごとなんかも少し見方が変わってくるかもしれません。

 

例えば、多くの方が使っているスマートフォン。スマートフォンのロゴマークなどは商標、形状は意匠。画面をスワイプするなどの操作ができるのは特許技術のおかげですし、スマートフォンの画面を通して見る情報のほとんどが著作物です。知的財産だらけですね。

このような純粋な興味も刺激されますが、いまはSNSなどで誰でも情報発信ができてしまう時代なので、やはり、自分の権利を守るためであったり、誰かの権利を侵害しないようにするという点においても、知的財産の知識は役に立つのではないでしょうか。

Web上の記事や、他人のSNSの画像などを私的利用以外で何かに転用するなど、気軽にやってしまいそうですが、このような行為を著作者に断りなくしてしまうと、著作権侵害となる可能性があります。

 

著作権侵害という言葉、一度は耳にしたことがあると思いますが、実際にどんなことが起こるかご存じでしょうか。民事だと「侵害行為の差止」「損害賠償」などですが、刑事告訴された場合は「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」を科せられるかもしれないのです。著作権侵害は犯罪行為、ということです。

 

罰則について書きましたが、それ以前に、誰かが時間をかけて創作したものを盗用する、勝手に改変するなどといった行為は、創作や発明といった活動を軽んじていますし、とても悲しいことです。多くの創作者たちの意欲を削ぎ、産業や技術の発展を阻害することにもなりかねないと思います。

 

「知的財産」は形のないものですが、非常に価値のあるものです。「知的財産」について、そしてそれを守るしくみについて、この記事をきっかけに少しでも興味をもっていただけたらうれしいです。

 

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